金萬有病院創立15周年記念行事に参加して
医学交流をより活発に
中央病院として強い期待感
平壌で盛大に行われた金萬有病院創立15周年記念行事 |
去る5月4日、平壌で金萬有病院創立15周年の記念行事が行われた。記念行事では報告会、展示会、科学討論会などが開かれ、病院の歩みを振り返った。日本からは姉妹病院である西新井病院の職員代表、在日本朝鮮人医学協会の代表、総聯東京・足立支部の代表らが訪れ、現地の人々と15周年を祝った。
市民の期待は大きい 筆者は15年前の1986年4月、病院がオープンするときに現地にいた。15年ぶりという事で感慨深かった。当時、病院開院の記念行事にも参加し、現地の人々の期待を肌で感じた。筆者の関心は病院が市民生活にどのくらい貢献しているかだった。しかし、平壌での評判はもっぱら「設備は立派だが、医療技術はもう少し」という事だった。実際に診察、手術した患者さんとその家族の意見だ。今後のいっそうの尽力が望まれる。 日本と同じく朝鮮でも健康問題の関心は高く、金萬有病院に対する人々の期待の大きさがうかがえる。 有意義な交流を活発に 金日成主席の構想を実現するためにも、医療技術を発展させることが急務だ。医療技術を発展させるためには設備の導入と技術交流が欠かせない。医療技術を世界的な水準に持っていくには外との交流が不可欠だ。そこで重要なのが、姉妹病院である西新井病院の役割だ。昨今、病院経営も難しい時代ではあるが、当病院の理事長である金萬有氏の名前を掲げる病院でもある事から、理事長の意思を貫くためにも西新井病院を拠点に医学交流をより活発に行うべきだ。 具体的には設備の更新、医学書の定期発送、医療技術交流などがある。技術交流は年に1回ではなく、許す限り頻繁に行うべきである。また、交流を漠然と行うのではなく、朝鮮の実情にあったものにするためにも定期的な協議が必要だ。一方的な交流では発展は望めない。朝鮮で今どの様な疾患が流行しているか、どの様な医療問題があるかなどを徹底的に調査し、それに見合った交流をする事が重要だ。 夢ではなく現実に 金萬有病院は朝鮮にある中央病院の1つ。朝鮮には中央病院として、平壌医学大学病院、平壌産院があるが、平壌医大病院は大学病院、平壌産院は産科、婦人科を専門にした病院で、一般の総合病院としては金萬有病院が全国の頂点にある。 金萬有病院は平壌市内にある第1、第2、第3病院と全国の道病院(日本でいう県立病院)の紹介病院でもある。つまり各病院で治療できなかった重病患者らはすべて金萬有病院に紹介され、診察を受けるようなシステムになっている。金萬有病院の重要な位置と役割がよくわかる。中央病院としてのシステムは確立されているので、その機能を十分に発揮できるようにしなければならない。 金萬有病院の金春燮副院長は「10年後には、朝鮮で一番の病院にしたい」と意欲をみせていた。これからの道のりは、まだまだ遠いと思うが、主席と金萬有氏の描いた構想を、夢ではなく現実のものにするため、訪問団は決意を新たにした祖国訪問となった。 金萬有病院 朝鮮の首都・平壌にある総合病院。この病院は同胞医師である金萬有氏(東京・足立区 西新井病院理事長)の愛国心により1986年4月に開院した病院。敷地10.5ヘクタール、本館延べ面積10万平方メートル、地下2階、地上16階、ベット数は1300床。 金同胞は金萬有病院を拠点に、これまで日本をはじめ先進国の医療技術を導入し、朝鮮の全般的な医療水準と人々の健康問題の解決に寄与してきた。 |