今週のスポット

`日本社会に埋没したくない´

日校出身、ウリマル勉強中

朝銀北東・本店の金良実さん(20)


 今年4月、朝銀北東本店に入社した社会人1年生である。業務部に所属し、毎日伝票整理や集計を取ったりと、慣れない仕事を覚えるのに忙しい。

 全国の競走馬の8割が生産される北海道静内町で育った。地元の高校を卒業後、札幌市内の女子短期大学で栄養学を学んだ。

 ウリハッキョに通った経験はないが、幼い頃から食卓には必ずキムチが載る家庭で育ち、両親を「アボジ、オモニ」と呼んできた。だから、学校の同級生や日本の友達と接しながらも、今ひとつ打ち解けられないもどかしさを感じていた。「つい『うちのお父さんね…』と言ってしまう。『アボジ』はいるけど『お父さん』はいないのに」。

 就職活動の際、日本の企業に就職するか、同胞社会で働くか、最後まで迷っていたという。「このままでは日本社会に埋没してしまうのではないか。ウリマルも覚えたい」と、悩んだ末に朝銀を選んだ。

 金さんは毎日、仕事が終わった後の1時間、同期で朝鮮大学校を卒業した丁純華さん(22)からウリマルを教わっている。

 「教わるのは小学校の時の夏期学校以来。発音は難しいけれど、覚えた単語は次の日に職場で使うようにしている。通じるとうれしい」と話す。注意事項を朝礼で発表する係を任されるとウリマルにふり仮名をふってもらい、読み方を必死に練習する。1日も早く覚えて先輩たちのウリマルを理解するのが目標だ。

 制服のチョゴリに初めて袖を通した時、「民族の誇りを感じた」。郵便物の投函などチョゴリで外出する時は最初とても緊張したが、「今では堂々と歩ける」と笑う。襟に付けるトンジョンは「時々、様子を見に来るオモニにつけてもらっている」と甘えん坊の一面ものぞかせる。

 同期の新入社員とはとても仲が良い。「入社式の時から、初めて会ったような気がしなかった。一番信頼できるチョソンサラムの友達」。
(李明花記者)

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