宮城同胞飲食業者交流会

`朝鮮の味、カラー出そう´

「サービス」「後継者」など意見交換


 宮城県下同胞の90%が暮らすといわれる仙台市では、焼肉店を筆頭に居酒屋、スナック、ラーメン屋など在日同胞が約50店の店舗を構えている。競争激戦区に加え、継続する不況下で同胞経営者たちが抱える悩みや不安は大きい。

 こうした苦難をともに助け合って乗り切っていこうと2年前、同胞飲食業経営者らによる協議会発足の話が持ち上がった。以来、発足準備の一環として数10回にわたり、材料の共同仕入れや競争に勝つための対策、経営における情報交換などを行ってきた。

 その結果、おしぼり、割りばし、調味料などの共同仕入れが昨年から実施されるようになった。

 こうした2年間の活動を総括しようと5月23日、同協議会発起人(責任者代理・李致鎬商工会副会長)主催の宮城同胞飲食業者交流会が仙台市の東北朝鮮初中高級学校で行われ、県下の同胞飲食業経営者25人が出席した。

 会では、従業員教育、和牛と輸入肉のバランスをどうとるか、といったメニュー、サービスの問題、さらに息子に現状維持のまま店を引き継がせるのか、それとも新しい分野を開拓して託すのか、といった後継者問題など様々な意見交換、経営経験談が披露された。

 出席者の関心がとくに高かったのが、日本の焼肉チェーンストアへの対抗策。メニューや味付けを「流行」に合わせて大胆に変えるべきか、それとも、元来の味を守り抜くべきか――意見は両者に分かれた。

 また焼き芋販売から焼肉業界に転身。県下で14店舗を展開している李商工会副会長(54)が、結婚を機に妻の実家が営んでいた焼肉店を任され、なんの知識もないまま一から始めた経験を語りながら、「焼肉の本当の美味しさは朝鮮人にしか出せない。自分たちが作り上げた『朝鮮の味』を持って、真っ向から立ち向かうべきだ」と力説した。

 参加者からも、「店は客を選べないが客は店を選べる。繁盛している店だからといってその真似をするのではなく、自分の店のカラーを出すことが大事だ」という意見が出された。

 一方、経営に対して勉強不足だという指摘もあり今後は会で、テーマをひとつにしぼり勉強会を開いていく案が提示された。

 出席者らは、商工会の非会員らも参加する会をまずは継続させながら、互いに仲間意識を深め、地域商工会を軸に活動していくことを確認し合った。[宮城県商工会]

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