新世紀へ−民族教育を歩く

少しの配慮


 20数年前のことだ。初めて1年生の担任を受け持った金和恵教員(47、北大阪初中)は、授業中、黒板の掲示物を指して「何色かな?」と聞いた。答えた子どもは、違う色の名前を言った。

 「その時は、ウリマルがよくわからず間違えたのだと思いましたが、その後の検査で色覚特性とわかりました」

 例えば、赤緑色弱、赤緑色盲(赤と緑が合わさると見えにくくなったり、色を判別できなかったりする)の子どもは、黒板に赤いチョークで書かれた文字が読めない。中には信号機をきちんと見られない子もいる。親も色覚特性を持っている場合は子どものおかしな言動を理解できるが、そうでないと理不尽にしかられるはめになる。そういう子どもは特に落ち着きがなかったり、誰にもわかってもらえないといういら立ちから反抗的になったりもするという。

 「落ち着きがなく無秩序で学習意欲がない子ども。その原因を『品行』の問題と見ることもできますが、情緒的な障害や視聴覚などの肉体的支障の場合もありえます。その要因を見極められなければ、親や教師はしかることしかできません。実際、少しの配慮で性格が素直になり、成績も上がったケースがあります」

 金教員は以前の経験から、自身が受け持つ1年生には必ず色覚検査を行ってきた(現行の保健規定では四年生で実施)。また専門機関を訪ね、ADHD(注意欠陥多動性障害)など子どもの様々な特性を詳しく知る努力を続けている。

 「子どもは誰でもいい子になりたい、ほめられたいと思っています」(姜和石記者)

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