オンマの家計簿Q&A―韓鐘哲H
収入のない学生の国民年金保険料は?
後払い可能な「免除制度」
Q 父が経営する建設会社の経理事務を手伝っている45歳の主婦です。わが家では、20歳を過ぎる子供2人が大学に通っています。本人たちには収入がないので、2人分の国民年金保険料は私たち親が支払っています。しかし、毎月の負担額が大きいので困っています。何か良い方法はありませんか?
A 前回、前々回に続き、今回も年金関係の質問です。公的年金制度のベースとなる国民年金の保険料は、収入に関係なく月額1万3300円(2001年度)です。そして、国民年金は20歳になると加入が義務づけられていて、学生の方も20歳になると国民年金に加入し、保険料を納めねばなりません。 質問の方の場合、収入のない子供2人分の保険料2万6600円を毎月、納付していることになります。しかし、保険料の負担額が大きいからといって保険料を滞納すると、将来、支給される老齢基礎年金が減額支給となります(理由は前回記事)。 それに加え、保険料を滞納している在学中はもちろん、卒業後、会社に就職して厚生年金保険等に加入しても、その後1年間は、事故や病気で障害が残っても障害基礎年金の支給を受けられません。なぜなら、障害基礎年金の支給要件として必要な保険料納付要件(詳細は前回記事)が問題になるからです。 障害基礎年金は、被保険者期間の3分の1を超える保険料の滞納期間があると支給されません。2006年4月1日前に初診日がある場合の特例も、初診日の前日が属する月の前々月までの1年間に保険料の滞納期間があると、支給されないことになっています。在学中、保険料を滞納していると、就職後、厚生年金保険等に加入しても、1年を経過しないと保険料納付要件の特例にも該当しないことになるからです。 ほとんどの学生は、収入がありませんので、国民年金の保険料を本人が納めるのは困難です。そのため、国民年金には保険料の「免除制度」があります。この制度は、国民年金の保険料を納付することが困難な時、その納付を猶予し、後日、納付が可能となった時、保険料を後払いすることができる仕組みです。 制度には、生活保護法による生活扶助を受けている等の一定の事由に該当する者に適用される「法定免除」、前年の所得がない等の一定の事由に該当する者が申請した場合に適用される「申請免除」、20歳以上の大学等に在学する学生等(夜間、通信教育の過程を除く)であって、学生本人の前年の所得が68万円以下である者が申請した場合に適用される「学生納付特例制度」があります。 法定免除以外の制度は届出制になっていて、学生本人の住所地の市区町村役場に届け出ます。届出は、前年の所得を確認する必要があることから、毎年度、必要になります。 朝鮮大学校在学生は、日本政府が朝鮮大学校を学生納付特例制度の対象となる「大学等」に該当しないとしているため学生納付特例制度ではなく申請免除の届出をすることになります。 また、申請があった月の前月から承認することになっているので、4月から翌年の3月まで承認を受けようとする方は、毎年5月末までに届け出る必要があります。承認前の期間は、保険料を納めていなければ保険料滞納期間となります。 届出が承認されると、保険料の免除・特例期間中の障害については、満額の障害基礎年金が支給されます。ただし、保険料の免除・特例期間は、老齢基礎年金の受給資格要件の年金加入期間には算入されますが、免除期間中の3分の2、特例期間中は全期間が、年金額を計算する期間には反映されません。 老齢基礎年金を満額、受けるためには、免除・特例期間中の保険料を納付することが可能となった時、さかのぼって納めること(追納)が必要になります。 市区町村役場に届け出る手間はかかりますが、家計の負担を少しでも減らし、かつ在学中の保険料滞納期間を作らないよう、申請免除、学生納付特例制度をうまく利用してください。 |