ハンセン病と差別


 ハンセン病の特色は、医学的なこともさることながら、「らいを病む人とその家族」に対して社会から加えられた仮借なき差別の存在である。病気を秘密にしようとしてついには、自殺、一家心中に至った数多くの悲劇が見られる。

 「全生園にいた○○という日本名の朝鮮人は、母国の肉親に迷惑をかけないために肉親との音信を絶って生活し、ついにある晩、独身寮で、かつ突然の死であったため誰にも看取られずに1人であの世に旅立ちました。彼は私たちに半生を語ってくれましたが、その聞き書きを公刊した『生きぬいた証に』に掲載することは、承諾してくれませんでした。彼の肉親から見れば、彼は永久の行方不明者になったのです。『ライ』という言葉はそうした過酷な患者の生活と不可分の言葉だと思います」と山田昭次元立教大学教授は指摘している。

 この病の患者に対する偏見・差別と結びついた「ライ」という言葉は、使うべきでないことが、現在、ようやく広く承認されるようになった。日本では96年以降、法律用語としても死語となった。

 また、全国療養所の患者組織は、51年の成立時には「全国国立癩療養所患者協議会」と称したが、現在では「全国ハンセン病療養所入所者協議会」に改称された。なお、同胞患者団体としては「在日韓国・朝鮮人ハンセン病患者同盟」がある。

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