ユニコテックと南、日本の3社、共同で初の翻訳サービス

朝・日・英語翻訳、会話などトータルに


14日に行われた共同記者発表
(右から梁、伊藤、尹 各社長と金会長)


 在日同胞企業と南朝鮮企業の合弁会社、ユニコテックが南朝鮮と日本のソフトメーカーと多言語翻訳などをインターネットにより提供する業務提携を結んだ。日本の翻訳ソフト・トップメーカーのロゴヴィスタはすでに英語をはじめヨーロッパ言語の翻訳サービスを行っているが、そこにユニコテックと南のユニバーサル情報通信の朝鮮語翻訳エンジンが組み込まれる。14日に、ユニコテックの梁泳富社長、ユニバーサルソフト情報通信の尹成鉉社長、ロゴヴィスタの伊藤光邦社長が都内で共同記者発表した。今秋にはユニバーサル情報通信の翻訳ソフトと、ユニコテックの入力ソフトをひとつにパッケージング。梁社長は、「北南朝鮮のソフトが1つのパッケージで、販売力のある日本企業との提携により市場に出るのは初めて。6.15共同宣言発表1周年に際して実現したことはたいへん意義深い」と語る。

通訳代わりに筆談

 これまで独自に翻訳ソフトを開発してきた3社だが、今後は朝鮮語、日本語、英語間の多言語翻訳、会話、辞書引きなど、言葉に関するトータルなコミュニケーション・サービスを、インターネット上で提供していくことになる。

 また、ユニコテックとロゴヴィスタは販売面でも協力していく。

 具体的には、外国人とのコミュニケーションを携帯電話あるいは携帯情報端末(PDA)を使い通訳代わりにして筆談したり、文例を引き出して会話に使ったり、わからない言葉は電子辞書を使って調べることもできる。

最高水準の技術

 ユニコテックは、同胞企業CGSと南のパソコン用モニター製造の専門企業体IMRI社を母体として昨年7月に設立された。

 CGSは、同胞の間でもおなじみの朝鮮語入力システム「ウィンク」シリーズを開発した。ソフト開発技術には定評のある、平壌の朝鮮コンピューターセンターと技術提携している。IMRI社は地元南朝鮮をはじめ欧州、米国で自社開発モデルモニターを大量販売。97年には平壌にモニター工場を設置、量産体制が整備されたことで、販売促進に一層の拍車をかけている。

 ユニコテックは、昨年10月に多国語ソフト「すらすら」シリーズを発表。朝鮮語入力をはじめ朝・日・中・ロ・英の5つの言語に対応した自動文書作成、文字読取ソフト、朝鮮語自動翻訳ソフトなどの新商品開発を進めている。

 ユニバーサルソフト情報通信は、98年6月に創業したベンチャー企業。文字認識OCRソフトウェア、アプリケーションプログラム、インターネット及びテキスト自動翻訳ソフトウェアなどを開発するソフトウェア開発専門企業である。

 ロゴヴィスタは90年6月に設立された、日本の翻訳ソフト・トップメーカー。英日・日英翻訳システムはすでに高い評価を得ているが、これに加え欧州系言語(独、仏、スペイン語など)、アジア系言語(朝鮮語、中国語など)をサポートする多言語翻訳システム開発にも手を伸ばしている。

 3社の業務提携により「最高水準の技術を組み合わせた多言語コミュニケーション・サービスを提供」(ロゴヴィスタ)することが可能になる。

気持ち伝えるため

 今回の業務提携についてユニバーサルソフト情報通信の金容勳会長は、「南北首脳会談開催から1周年目に北と南が技術協力して、競争の激しい日本の市場に進出できたことは感慨深い」と話す。

 ロゴヴィスタの伊藤社長は、「グローバル化の中で、最後に残るのは言葉の壁。それを乗り越えてこそ、互いの気持ちがうまく伝わる。来年はサッカーワールドカップも開催されるが、朝鮮半島と日本の企業が1つになって、言葉の壁を破ることに努めたい」と抱負を語った。
(文聖姫記者)

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