取材ノート

広島朝高サッカー部、プレッシャーに負けずに


  15日に授賞式が行われた朝鮮大学校同窓会奨励賞初代受賞者の1人、金正海さん(40)は、大阪朝高サッカー部の監督である。

 大阪朝高サッカー部と言えば、1999年8月に全国の朝高の中で初めて全国高校総体(インターハイ)に、そして翌2000年12月には全国高校サッカー選手権大会に出場したチームである。これによって、大阪朝高の名を知らしめただけでなく、民族教育の正当性もアピールした。金監督が受賞したのも、その功績を買われてのことだ。

 「これからもサッカーを通じて同胞たちに喜びと勇気を与えられるよう、選手たちを育てていきたい」と、喜びを語っていたのが印象的だった。

 同じ時期、広島朝高サッカー部がインターハイ初出場を決めた。金監督は82年から2年間、広島朝高で体育の教員だった。

 そんな監督に、広島朝高サッカー部へのメッセージをと頼むと、「とにかくプレッシャーに負けないこと」と返事が返ってきた。

 初の全国大会出場。それも2度にわたる快挙である。同胞たちの期待も大きかった。「何とか一勝をあげてほしい」。そう思うのは応援するみんなの共通した思いだった。その分、監督や選手たちのプレッシャーも大きかったであろうことは想像に難くない。

 思えば、朝鮮学校の全国大会への門戸開放への道のりは平たんではなかった。出場資格を得た後も、ボクシングなど個人競技での出場者はいたが、チームとして出たのは大阪朝高が初めてだ。しかも、サッカーは朝鮮の「国技」。在日社会でも人気抜群の競技だ。

 これまで数10年にわたって涙をのんできた先輩たちの思いが集中しただけに若い彼らがプレッシャーを感じるのも当然だった。

 広島朝高の選手たちには金監督のアドバイスをきかし、同胞たちの期待を担いながらも、のびのびプレーしてくれるよう望みたい。
(文聖姫記者)

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