国税庁、6つの言論社を脱税の嫌疑で起訴
最後の「聖域」言論界にメス
追徴税額3048億ウォン。最後の「聖域」だった南の言論界についにメスが入った。6月29日、国税庁は「朝鮮」「東亜」「中央」など6つの言論社を脱税などの嫌疑でソウル地検に起訴した。「朝鮮」「東亜」などは「言論飼いならしのための追徴」「言論殺し」などと反発しているものの、一部の不良企業と同じような方法で脱税や不正取引を行ってきた事実が明るみに出るにつれ、説得力を失いつつある。市民団体や専門家は、歴代政権との間で培われてきた権力と言論のゆ着の清算を声高に叫んでいる。
「聖域化」が生んだ不正 国税庁の調査により今回初めて明るみに出た言論界による不正行為の実態ではあるが、言論界周辺ではこのような事実が「公然たる秘密」として存在していた。 これまで朝鮮日報などの保守的マスコミは、歴代独裁体制を支持することで、政権のひ護を受け、ゆ着関係を構築してきた。また保守言論の経営陣は、例外なく族閥で占められ、その権力は編集権にまで及ぶなど、特異な体質を現在まで維持している。 歴代反共保守政権を支えるマシーンとして機能してきた保守言論は5年に1度の税務調査を免れるばかりか、様々な「特恵」を与えられるなど、「治外法権」に位置していた。 国税庁のある関係者によると「調査を定期的に受けてきた一般企業は会計処理がスマートに整っているし、会社の主要事業を決定するときには税金問題をまず考慮する。しかし言論各社は社屋の新築や株式投資を計画しながらも、税金問題についてはほとんど念頭になかったように見える」と指摘している。公正取引委員会の関係者も「政府が不正インサイダー取引を外国為替危機の主要因として、この間財閥グループの不正インサイダー取引を厳しく取り締まってきたにもかかわらず、今回の調査で言論各社がまったく同じように不正取引をしてきたという事実には正直驚いている」と漏らしている。 国税庁の調査によると、言論各社では法の目をかいくぐるため公益財団を利用したり、マネーロンダリングを目的に知り合いや役職員などの他人名義の口座を作っていたという。何人かの経営者は記者の取材費や役職員の福利厚生費などを虚偽計上し、会社の金を個人用途で使っていた。公正取引委員会の調査でも系列会社に対する印刷費の過剰支給、原料費の水増し、広告の無料掲載や広告費支援など各種の違法行為が明らかになった。 言論界がこうした不正の温床となったのは、「自分たちに手を出せる者はいまい」というトップたちのごう慢さが起因している。「言論界=聖域」という考え方が「道徳不感症」を引き起こし、言論各社の実務者たちのレベルとモラルの低下をも招いたといえる。 改革は市民の手で 言論界の不正に対する市民の反応は早かった。 全国の言論学者107人はさる6月23日、「今が『韓国』の言論発展にとって重要な時期であることを認識し、読者、市民、言論人などが力を合わせることができる新聞改革運動が必要」としながら言論学者100人宣言を発表した。 言論改革市民連帯と民主言論運動市民連合(民言連)などで構成された「新聞改革国民行動」は6月29日、全国の各市民社会団体と「言論宣言」を発表した後、1日から定期刊行物法改正のためのハンスト闘争に入っている。民言連のチェ・ミンフィ事務総長は「一部の大手新聞と野党が今回の税務調査を言論弾圧、言論の飼いならしと主張し、多くの市民たちが戸惑ったことと思う。しかしばく大な脱税規模を見て言論界の実態を知った市民も増えたと思う」と述べた。 民言連は続く2日にも声明を発表し「『朝鮮』『東亜』『中央』の各新聞社は本当に公的な役割を放棄しようとしているのか」と、世論わい曲をもくろむ3新聞社を批判した。声明の中で民言連は、国税庁の調査結果発表後、前述の各新聞社が紙面を通じ自社の主張を一方的に流布することで、社会の公器としての機能を忘却したかのように振る舞っていると指摘した。7つの宗教団体に所属する8団体の代表らも6月29日に「言論自省促進声明」を発表している。 市民の新聞社に対する信頼の失墜を憂慮し、大手言論社の中でも「経営者が逮捕された方が新聞のためにはかえって有益だ」という声が出るなど、自省の姿勢も一部ではうかがえるようになった。しかし、それらの声は単発的なもので、決して集団的な自省ではない。全国言論労働組合が定期刊行物法改正を要求しているにもかかわらず、「朝鮮」「東亜」「中央」の労組がいまだ言論労組に加入していないことがそれを如実に表している。 このような現状下言論運動団体は、定期刊行物法の改正であろうと言論社内部の自省であろうとつまるところ、実現のためには全市民的運動と世論しかないと判断している。「ばく大な税金を課したからと新聞の紙面が大きく変わるとは思えない。結局新聞を変えるのは読者と市民の力しかない」(視聴者連帯会議キム・ドンミン教授)。 市民にこれまで納税義務の順守と公正な競争の重要性を機会があるごとに強調してきた言論各社が、自らこれを守ってこなかったという事実はどんな理由でも許されるべきことではない。 |