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アジア各国の被害者や市民団体が「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史教科書を検定合格させた日本政府を非難し、先月中旬に開いた抗議集会でのこと。「人間の鎖」で文部科学省を囲み、抗議デモを行う元「従軍慰安婦」ら参加者に対し、右翼団体のメンバーが「乞食」「不良集団」などとば声を浴びせたという。「血が逆流する思いだった」と、現場を取材した本紙記者はむろん、旧知の南特派員も憤りを隠さなかった
▼「つくる会」の歴史教科書に対して、南朝鮮と中国は具体的箇所を挙げて修正を要求してきたが、「つくる会」側は2日、文部科学省に9ヵ所の訂正申請を出した。だが、「市販本の読者からの意見などをもとに筆者らが自己点検した結果」(西尾幹二会長)と、あくまでも修正要求に応じたものでないことを強調する ▼「批判に誠実にこたえようとした訂正とは思えない」(李成市・早稲田大教授)と非難の声があがるのも当然だ。中国に至っては、「要求した項目は修正されていない」と、引き続き修正を要求していく構えだ ▼だが、「しつこい要求」とうそぶく「つくる会」側がこれ以上訂正することはあり得ない。そもそも、史実をわい曲した教科書を検定合格させたことが問題なのだ ▼本紙では、前述の集会参加を阻まれた朝鮮の代表が発表を予定していた「評価」を掲載したが、先日、歴史学学会も長文の抗議文を発表した。いずれも「つくる会」教科書の具体的箇所を挙げて反論している。日本政府はアジア諸国の要求に答え、検定合格そのものを撤回すべきだ。(聖) |