商工連4月の景況観測調査

全般的に悪化、時期もマイナス傾向


 在日本朝鮮人商工連合会(商工連)は今年から、同胞企業を対象とした定期的な景況観測を行っている。同胞企業の実態、動向を調査するのが目的で、調査は商工連経済研究室が主管し、年4回(1、4、7、11月)実施する。初めてとなる今年4月(調査期間=4月15〜28日)の調査結果が「同胞経済研究」創刊号(2001年夏)に掲載された。経済研究室の了承を得て、内容を抜粋して紹介する。

景況

 2001年1〜3月の景況DI(「良くなった」―「悪くなった」)は▲(マイナス)45で、景況感の分岐点である0を大きく下回った。日銀短観の今年3月調査における日本の中小企業の反応が▲28であることから、同胞企業の景況感が悪化傾向にあることがわかる。

 業種別では、すべての業種がマイナスだったが、中でも土木・建設業のマイナス幅が大きく(▲53)、飲食業はそれに比べてマイナス幅が小さかった(▲33)。

 次期の景況DI(「良くなる」―「悪くなる」)は▲40であった。

売上高

  売上高DI(「伸びた」―「落ちた」)は▲33。前期と比べた売上高の伸び率は▲3%だった。

 次期の売上高DI(「伸びる」―「落ちる」)は▲29。次期の伸び率見通しは▲1%と見込まれている。

 業種別にみると、土木・建設業が現状(▲47)、展望(▲53)ともに落ち込みが激しい。

採算と資金繰り

 採算状況DI(「良くなった」―「悪くなった」)は▲41。次期の採算状況DI(「良くなる」―「悪くなる」)は▲40。

 また、資金繰りDI(「良くなった」―「悪くなった」)は▲40で、次期の資金繰りDI(「良くなる」―「悪くなる」)は▲41で、悪化傾向にある。

人手

 人手DI(「足りない」―「余っている」)は13と不足という結果。次期の人手DI(「足りない」―「余る」)も6と不足傾向にある。

 業種別では、遊技業(14)が最も不足感が強く、逆に過剰感の強かったのが金融業(▲10)だった。

 こうしてみると、同胞の景況判断は全般的に著しく悪化傾向にある。また、業種別では、土木・建設業がすべての項目で悪化傾向にあり、次期の見通しでは、飲食業が他の業種に比べてマイナス幅が小さい。

 【調査対象】  東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡の各商工会法人会員350。調査方法は面接。

 【調査内容】  @景況判断A売上高B仕入価格C採算状況D資金繰りE設備F人手の7項目。今年1〜3月期を基点に前期比の状況、次期の見通しを調査。

 【注】  DI(diffusion  index)は契機判断指数などに用いられる。A―Bで計算。単位は%ポイント。景況と売上高、資金繰り、採算状況のいずれも、DIがプラスであれば好転、マイナスであれば悪化と判断できる。仕入価格はプラスであれば上昇、マイナスであれば下落。設備と人手は、プラスであれば不足、マイナスであれば過剰と判断できる。

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