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来月25日、種子島宇宙センターから日本の国産大型ロケットH2Aの1号機が打ち上げられる。98、99年に連続して打ち上げに失敗したH2を大幅に改良したもので、「国を挙げて背水の陣」で臨むという
▼このH2Aロケット、大型という形容で簡単に紹介されているが、しかし、朝鮮や中国など周辺諸国にとっては、そんな程度の説明では片づけられない重大な問題を抱えている。というのは今回、打ち上げに成功すると日本は米国、ロシア、フランスなどに次ぐ最新技術による弾道ミサイル発射能力を持つことになるからだ ▼98年8月、朝鮮が国産初の人工衛星「光明星」1号の打ち上げに成功した時、日本政府は「事前通告なき」弾道ミサイル発射実験だとして敵対視し、名古屋−平壌間のチャーター便運行取り消しなどの一方的な制裁措置を取った。当時の官房長官は戦争を意味する「周辺事態の発生」とまで言い切った ▼むろん、米日安保体制の制約下で、H2Aロケットの打ち上げに成功したからといって、イコール弾道ミサイルの開発だという、「光明星」1号の時の日本のような暴論を展開するつもりはないが、能力を保有することは変わらない。小泉政権の誕生後、自衛隊の海外派兵を容認すべきだという集団的自衛権行使論議が何の歯止めもなく展開され、またその公認のもとに侵略の歴史が公然とわい曲されているという状況は、日本に対する脅威を倍加させることになる ▼さて今回、日本は朝鮮などに「事前通告」するのだろうか。二枚舌では、信頼は勝ち取れない。(彦) |