日本政府、歴史教科書修正要求を拒否、高まる国際的非難
朝鮮歴史学学会「日本当局の歴史教科書改悪策動の真相」発表
文部科学省は9日、歴史教科書問題について専門家による内容の検討結果をまとめた。共和国をはじめとするアジア諸国の是正要求を、「学説状況に照らして明白な誤りとは言えない」としながらそのほとんどを退け、近現代史部分に至っては全く応じていない。このような日本の態度に対し、「歴史のわい曲、美化から何を得ようというのか」という声がアジア各国からあがっている。日本国内でも「自国の歴史だからといって勝手に書いていいものなのか」と、歴史教科書の修正拒否を批判する動きが顕著になりつつある。
修正はわずか2ヵ所 今回文部科学省が誤りと認めたのはわずかに2ヵ所。修正要求がもっとも集中した「新しい歴史教科書をつくる会」主導の扶桑社版では、「大和朝廷の軍勢は、百済や新羅を助けて、高句麗とはげしく戦った」という記述の1ヵ所のみ要求を受け入れた。もうひとつは、朝鮮が新石器時代から小国分立に移行した時期を紀元前400年ごろとした大阪書籍版の年表。 扶桑社版の「日本に向けて、大陸から一本の腕のように朝鮮半島が突き出ている」など朝鮮半島脅威説に立った記述が清日、露日戦争を合理化するという指摘に対し、文科省は「当時、日本の指導者には欧米列強が朝鮮半島に地歩を確立すると独立を脅かされかねないとの認識があった」と、侵略を正当化する脅威説を擁護した。また朝鮮併合に英米ロの三国が「異議を唱えなかった」とする記述も、日本の学界で広く認められているとするなど「明白な誤りとは言えず、制度上、訂正を求めることはできない」と主張した。「従軍慰安婦」や「皇民化政策」の具体的内容に触れていないことについても「筆者の判断の問題であり、制度上(記述を)強制することはできない」とした。 文科省は5月に修正要求を受けて以来、教科書検定調査審議会に加え朝鮮古代史や中国史などの学者14人に意見を聞くなど、計18人の専門家で修正要求の内容を「検討」してきた。文科省ではまた、アジア諸国の指摘で誤りが見つかったことについて「検定の信頼の問題にもつながり、おわび申し上げたい」としながら、近隣諸国との関係に万全を期すため、教科書検定審議会に新たに朝鮮史、中国史の専門家各1名を加え、誤りの指摘など意見を受け付ける窓口を省内に設けたいと言っている。 しかし、歴史教科書の共同研究については「考えていない」としていることでもわかるとおり、時間が経てばアジア諸国の反発も収まるであろうとの安易な予測のもと、その場限りの対応をしているということが容易に見て取れる。 広がる国際協調 朝鮮民主主義人民共和国歴史学学会は6月28日、「日本当局の歴史教科書改悪策動の真相」を発表し、検定に合格した歴史教科書には朝鮮侵略をわい曲美化した項目が40余りも残っていると指摘した。続いて、こうした日本当局の歴史わい曲策動は自衛隊の海外派兵合法化のための策動や、憲法改悪策動とも関連付けられた軍国主義復活へのステップであると厳しく批判した。 民族古典学学会も6日声明を発表し、検定を通過した歴史教科書では朝鮮の民族古典を略奪、または焼却した罪過について一言も触れていないと指摘しながら、日本当局が罪深い過去を清算する勇断を下し、朝鮮人民と国際社会が認めるようしかるべき措置を取る決定的な道に進むことを強く求めた。 南でも歴史教科書に対する批判の声は各層からあがっている。 当局は、今回の修正要求拒否に対し9日政府声明を発表し、「日本政府と国民が、未来を担う若い世代に過去の歴史を客観的かつ正しく教えることで、周辺諸国と善隣友好関係を維持し、世界の平和と繁栄に寄与できるよう思慮深く対処することを改めて要求」した。民間レベルでも各界の日本代表招待の中止や、学校間の姉妹関係の取り消しなどが相次いでいる。 ハンギョレ新聞は10日の社説で、小泉総理が8月15日に靖国神社を参拝した後、大局的な見地から周辺諸国との関係改善に乗り出すと発言したことを取り上げながら、「これからは東アジア諸国との関係を断ち切って生きていくつもりなのか聞いてみたい」と、日本政府の姿勢を批判した。 中国も「強烈な遺憾と不満」を表明したうえで、「実質的に右翼勢力が侵略の歴史を否定し、美化することをかばうことであり、中国側は受け入れることはできない」と、不快感をあらわにしている。 日本国内でも「子どもと教科書全国ネット21」をはじめとする団体や個人が、政府の修正要求拒否を強く批判している。 北南朝鮮、中国は4月の国連人権委員会に続き、6月14日にジュネーブで行われた国連人権関連会議でも、日本の「従軍慰安婦」問題と歴史教科書問題などで協調していくことを再確認した。のみならず、侵略の過去をわい曲し美化する日本の姿勢に対しては国際的批判が集中しつつある。 国際的世論を敵にまわしてまで侵略の過去を美化しつづけるのか、国際的な声に耳を傾け東アジア諸国との新たな関係を築き上げていくのか。今後の日本政府の動向が注目される。 |