21世紀のニーズに沿った大学に

張炳泰・朝鮮大学校新学長に聞く

 1942年9月19日京都生まれ。京都大学工学部、同大学院卒。70年4月から朝鮮大学校理学部助手、教授、学部長、理工学部長、副学長を経て現在に至る。専攻は化学熱力学、電気化学、触媒化学。朝鮮の化学博士、教授、京大工学博士、仏ボルドー大学理学博士。趣味はウォーキングとテニス、読書、囲碁。妻と1男2女。

 このほど朝鮮大学校(東京・小平市)学長に就任した張炳泰教授(58)に、学長就任にあたっての抱負、今後、大学事業をどのように進めていくのかなどについて聞いた。

 ―学長に就任した今の気持ちを聞かせて下さい。

 改めてその責務の重さを感じている。朝鮮大学校は、祖国の配慮のもと、民族教育の最高学府として発展し、今年、創立45周年を迎えた。これまでの成果を踏まえ、統一祖国の発展と21世紀の在日朝鮮人運動を担う有能な人材育成に向け、さらに力を傾けようとしている時期だからだ。それだけに課題は多いものの、やりがいがあると受け止めている。総聯中央の故韓徳銖議長ら、歴代学長の功績に恥じないよう務めたい。

 ―研究テーマは何ですか。

 京都大学大学院で電解フッ素化反応について、朝大では太陽エネルギーの利用と関連した金属酸化物半導体電極の光電気化学的特性について研究を深めた。1980年代後半からは、科学院咸興分院、金日成総合大学、理科大学など朝鮮の専門機関とも触媒化学分野について研究を共同で進めている。

 ―教育者、科学者としてどのような信条を持っておられるのですか。

 大学時代の留学同活動を通じて民族の心を取り戻すことができた。以来、民族の一員として学ぶ喜びを心の支えに、一つを学んでも祖国、民族の発展のために学ぶのだという気持ちを堅持してきた。この過程で、科学には国境がないが、われわれ科学者、教育者には 祖国がある という信条を確固たるものにした。

 またこの過程を通じて、自己の運命の主人は自分自身であり、その運命を開拓する力も自分自身にあるという真理を悟った。

 ―大学事業の今後の構想について。

 祖国統一、21世紀の科学技術の発展を念頭に置いて、同胞と学生たちのニーズに応えられる大学に発展させていきたい。基本は、祖国と民族の未来を担う有能な人材と、在日同胞社会の各分野をリードする民族活動家を育てることだ。

 次に、特色ある専門家の育成にも努めたい。同胞の生活と権利を擁護する弁護士や司法書士などの有資格者、IT(情報技術)時代に要求される人材など、日本の社会の中でも知識と技術を持って社会に貢献できる専門家だ。

 また、大学院教育を強化し、北と南、海外同胞、さらには統一祖国と世界を結ぶ新しい時代の架け橋となる人材育成も目指したい。

 ―展望はどうですか。

 決して平坦な道のりとは言えないが、教職員と学生たちが祖国と自分の力を信じて団結すれば、必ず新しい歴史を切り開けると確信している。(羅基哲記者)

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