6.15共同宣言1周年
社協シンポ報告要旨
在日本朝鮮社会科学者協会が七日開いた「6・15北南朝鮮共同宣言一周年記念シンポジウム」でのパネラーの報告要旨を以下に紹介する。(原文は朝鮮語)
自主平和統一の道開く 昨年の6.15北南共同宣言は、祖国統一の明るい未来を開いた民族史的事変だった。分断後初の最高位級会談により、反目と対決が和解と協力の関係に変わった。また、統一問題解決における民族共同の基礎を整え、民族自主意識、民族の力に対する確信を広め、民族共通の統一方途と目標をもたらした。 第1項「北と南は、国の統一問題を、その主人であるわが民族同士が互いに力を合わせて自主的に解決することにした」は祖国統一3大原則を再確認し、とくに自主の原則を強く反映させることで、「自主」というキーワードが宣言全体に一貫していることを示唆している。 第2項では「北と南は、国の統一のための北側の低い段階の連邦制案と、南側の連合制案が互いに共通性があると認定し、今後、この方向で統一を志向することにした」。統一の方途および両体制の共存に関する合意は初めてのことで、画期的な出来事だった。 第3項の人道問題、第4項の経済・社会・文化など各分野における協力・交流、第5項の当局間対話開催――は、北南の和解と協力、信頼の関係を強固にし、将来、連邦制統一へと進んでいくための土台作りと言えよう。 72年の7.4共同声明、91年の北南基本合意書の背景には南朝鮮人民のたたかいに象徴される民族の統一熱望があった。6.15共同宣言も、7000万民族の統一熱望と長いたたかいが結実したものである。 さらに成熟する条件 こんにち、外勢の干渉を排除し民族の団合した闘争によって和解と統一を成し遂げようというのは、民族の大勢になっており、自主統一の前提条件はさらに成熟しているといえる。 朝米関係におけるすべての懸案問題発生の根源は、米国の対朝鮮敵視政策にある。現在の重大な事態は、ブッシュ政権がそれまでの対話、協商の経験と教訓を忘れ去った、非現実的な対朝鮮政策を取るようになってもたらされた。 朝米関係の基本的な方向については、すでに基本合意文と共同コミュニケに合意し「過去の敵対感から脱した新たな関係を樹立するためにあらゆる努力を傾ける」ことを公約した。 朝鮮の対米政策、軍事政策は、民族の尊厳と自主性を傷つけようとすることに対しては断固として非妥協的だが、本質において国の安全を求める防衛的なもので、米国の「安保上の憂慮」も考慮した現実感覚が際だった合理的なものだ。 米国は、朝鮮政府の提議と世界の世論にしたがって対話と協商の道に出てくる以外に選択の余地はない。 北南関係の現実を反映し示された「低い段階の連邦制案」の基本内容は、1つの国家という大原則に基づいているが、北と南の2つの政府が政治、軍事、外交権をはじめとするいまのすべての機能と権限を維持したまま、北南関係を統一的に調整する民族統一機構を構成する方法で統一を実現するということだ。 だから、双方が負担なく受け入れることができ、立場と見解が異なる国と人間がともに生きていくことを志向するこんにちの世界のすう勢にも合致する。 ブッシュ政権、関係改善しか道なし 米国の現政権は、強大な軍事力を背に世界覇権を強化して一極支配、既得権の維持、拡大を狙っている。そのためには冷戦時のような「敵対国」が必要だ。それが朝鮮を「危険な不良国家」だと騒ぐ理由だ。 ラムズフェルド国防長官は3月、ブッシュ大統領に提出した報告書と、6月の上院での証言で「(朝鮮半島と中東での戦争で勝利する)二正面戦略」を放棄し、米軍の軍事作戦の主な舞台を欧州からアジア太平洋地域に移す新戦略構想を打ち出した。 ブッシュ政権は、「不良国家」などの「ミサイルの脅威」から世界各地の米軍基地と同盟国を防衛するという戦域ミサイル防衛と米国本土ミサイル防衛を一体化し、全世界にミサイル防衛網を形成する構想を推進中だ。新戦略構想は「不良国家」の地下軍事施設を破壊するためには核兵器が不可欠で、低威力・精密誘導の小型核兵器の実戦配備により戦略核兵器を削減できると指摘している。「危機」発生後、24時間以内に紛争地域に出動し、4日以内に紛争を完全に解決できる「国際合同対応軍」の創設も論議されている。 ブッシュ大統領は6月末、朝鮮に対し、@朝米基本合意文履行の改善Aミサイルに対する検証可能な規制と輸出禁止B通常兵器の脅威削減――を条件に対話を呼びかけた。朝鮮側は米の提案が一方的で敵対的だと厳しく批判。今後の朝米会談では対朝鮮敵視政策の放棄と軽水炉提供遅延に対する電力損失補償問題が優先的に解決されるべきだと論ばくした。 結局、ブッシュは朝鮮との関係改善の道に戻るしかない。94年、朝鮮との戦争を検討したクリントンが結局は方針転換し、関係改善の道に進んだ歴史的教訓を忘れてはならない。 |