私たちのうた
申庚林
いつの頃からか、葦はひとり 静かに泣いていた。 そんなある夜のことだったはず。葦は その体がかすかに震えているのを知った。
風でも、月の光でもないもの。 葦は、その体を震わせるのが 自分の小さなすすり泣きだということを まったく知らないでいた。 ―生きるとは、心でこんなふうに 静かに泣いているものだということを 彼は知らなかった。
(「実践文学」 2001年春号より)
シン・キョンリム 1936年 忠清北道・忠州生まれ。詩集に「ノンム」(訳・姜和石)
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