朝大でハンセン病に関する講演会、経営学部と留学同が共催

同胞学生に正しい認識を


 朝鮮大学校経営学部と留学同西東京本部の共催による講演会「在日朝鮮人とハンセン病」が14日、朝鮮大学校で開かれた。岡山県にあるハンセン病療養所・長島愛生園に通いながら日本政府のハンセン病政策について研究してきた四国学院大学の金永子教授が講師を務め、学生ら100人が参加した。

 金教授は、ハンセン病は伝染力が極めて弱いうえ、特効薬プロミンの出現や治療法の発達により、完治できる病気になったにもかかわらず、日本政府がハンセン病患者を療養所に強制隔離する誤った政策を90年間続けてきたことで偏見があおられ、多くの患者が人間以下の生活を強いられてきたと話した。

 とくに、日本人に比べて朝鮮人の発病率が高く、現在も230余人が日本各地の療養所で生活していると明らかにしながら、高い発病率の背景には、植民地支配による過酷な強制労働や貧困があったと述べた。

 さらに、日本政府による年金差別や民族的偏見による2重、3重の差別の中で生きてきた同胞たちが1960年5月に「在日朝鮮人・韓国人ハンセン氏病患者同盟」(現在の「在日韓国・朝鮮人ハンセン病患者同盟」)を結成し、年金差別に反対する運動に取り組んできたことも紹介した。

 金教授は、同胞社会に残る患者への差別についても発言。ある同胞患者が療養所から実家に帰省した時、近所の同胞に「ムンドゥンイ」(朝鮮語でハンセン病患者を指す差別的な言葉)という罵声を浴びせられたことや、患者という理由で親せきに縁を切られたなどの例をあげ、ハンセン病に対する正しい知識を持って差別と偏見をなくしていこうと呼びかけた。

学生の感想文から

知ることから始めよう/権順踊(朝大2年)

 つい最近ハンセン病という病気があることを知ったが、ただの病名としか受け止めていなかった。

 日本政府の誤った政策により、何の罪もない患者が療養所に何10年もの間強制的に隔離され、自由を奪われた。それだけでも驚いたが、その中に同胞も多かったと知り大変ショックを受けた。

 さらに悲しいことは、同胞の中でも患者に対する差別が存在したことだ。何という現実だろう。患者の多くは1世だった。異国の地で苦労を重ねた同胞同士なのに、助け合うどころか、逆に差別されたその胸中はどのようなものだったのだろう。

 私は、日本政府の怠慢とそれが引き起こした数々の悲惨な出来事もさることながら、私たち同胞の中にひそむ「差別」について考えた。

 日本政府に差別されている被害者が、弱者を差別して新たな被害者を作ってきた現実。それは、無知から始まっていると思う。知ることこそ、差別をなくす一歩につながる。

無関心の自分を恥じる/朴未玲(中央大学3年)

 5月に熊本地裁で勝訴判決が出て以来、新聞などで取り上げられていたのでハンセン病という言葉自体は知っていた。しかし、どういう病気なのかもよく知らず、在日朝鮮人との関連もよくわからなかった。

 しかし今回、私があまりに無知であり、無意識のうちに偏見を持っていたことに気づかされた。

 ハンセン病患者に対する日本政府と社会の差別はひどいものだった。さらに在日朝鮮人患者は、日本政府から年金差別を受け、療養所の中でも日本人患者から差別を受ける「2重の苦しみ」の中で生きてきた。

 在日朝鮮人患者の心中を思うと、今まで無関心でいた自分を恥ずかしく思う。そして、日本の植民地支配による過酷な状況が朝鮮人のハンセン病患者の割合を高めたにも関わらず、それに対して何ら補償をしないどころか、逆に差別を続けてきた日本政府に憤りを感じる。

 ハンセン病患者に対する差別は無知から生まれている。

 私たちにできることは、より多くの人にハンセン病についての正しい認識を持ってもらい、偏見をなくすよう努力することだ。これから留学同で学習する場を作っていきたい。小さなことかもしれないが、一人一人の小さな積み重ねが大事だと思っている。

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