6.15共同宣言発表1周年統一セミナー、東京
必ずできる、自主平和統一/6.15以前と以後、質的変化
6.15共同宣言発表1周年統一セミナー(主催=同実行委員会、後援=祖国平和統一協会)が18日、東京・御茶ノ水の中央大学駿河台記念館で開かれた。南朝鮮・尚志大学の姜萬吉総長の記念講演、立命館大学の徐勝教授と月刊誌「統一評論」の崔錫龍編集長による主題発表に、同胞ら400余人が聞き入った。参加者一同が採択した「内外同胞に送るアピール」は、祖国統一の運命は6.15共同宣言の実現いかんにかかっており、その原動力は民族自主にもとづく民族大団結にあると指摘。すべての同胞が、祖国統一を成し遂げることこそ自らの歴史的使命であると肝に銘じ、思想・政見・信仰・所属団体・居住地・老若男女を問わず民族的に固く団結し、6.15共同宣言実現のための全民族的な崇高な運動に立ち上がろうと呼びかけた。
冷戦時代に終止符 主題発表をした両氏はともに、6.15共同宣言の画期的な意義について強調し、米日などの妨害があっても、わが民族が力を合わせて自主的に宣言を実践していくことが、統一への道にほかならないと主張した。 「南北共同宣言から1年、民族自主に関する私見」と題して発言した徐氏は、6.15共同宣言が「20世紀後半の世界を特徴づけた冷戦時代に終止符を打ち、21世紀のキーワードである『和解と平和』に、実践的な意味を付与した世界史的な大事変」だと意義づけたうえで、民族史的には、統一における民族自主をうたった第1項がとくに大切だと指摘。「統一はほかの誰かがやってくれるものではなく、民族内部で成し遂げなくてはならない。必ずできるし、現にそれが可能だと示したのが昨年の首脳会談であり共同宣言だ」と述べた。 「6.15共同宣言と民族自主・民族共助」と題して発言した崔氏も、北南の当局者が統一に向けて手をつなぐことで北南の共助時代が始まり、共同宣言が、民族統一を成し遂げるうえの画期的転換点となったと指摘した。 妨害する米・日 それから1年間、状況は進展したのだろうか。内外の懐疑的な見方に対して崔氏は、「当局間対話、離散家族の再会、非転向長期囚の帰還、シドニー五輪の合同入場、労働者・農民の共同行事など様々な分野で協力と交流が進んでおり、在日同胞社会でも総聯、民団間の交流、総聯同胞の故郷訪問など、6.15以前では考えられなかったことが起きている」と具体例を列挙して6.15以前と以後の質的変化を強調した。 徐氏も、「いまだ形としての統一が実現していないことに失望している人もいるかもしれないが、6.15を機に統一時代が始まり、人々の心の中に自主性と統一意識が生まれているのは事実」と述べた。 姜氏を含め3氏ともこの1年間を振り返りながら、独善的な一極主義に走る右派強硬保守派の米ブッシュ政権の登場と、米の動きに呼応しながら右傾化を強める日本政府が、昨年6.15以降の北南統一へ向かう和解の道を阻害していることに憂慮を表明、両国を批判した。 問われる朝鮮民族 今後の展望については、「統一、いかに成すべきか」と題して記念講演を行った姜氏が多くを語った。 歴史学者である姜氏は「未来のために過去から学び、少しでもいい社会を作るために役立てるのが歴史を学ぶことの意味だ」と述べながら、分断以前からの朝鮮半島の状況、地政学的条件などについて一つ一つ丁寧に説明し、今後についても様々な角度から展望した。 姜氏は、日本に侵略され植民地にされたことと、解放後に民族分断を免れなかったことが、近代史におけるわが民族の2つの大きな失敗だったとして、現在、わが民族はいかに平和的に統一を成就できるかどうか問われており、これに失敗したら3度目の大きな失敗になってしまうと強調。しかし、6.15共同宣言によって互いの体制をうんぬんしない約束をしたのであり、将来的に落ち着いてゆっくり話し合って21世紀的な新しい形を模索し、必ずや平和的に統一できるだろうと述べた。 また朝鮮半島の中だけで統一問題を見るのではなく、東アジア全体の問題としてとらえることで新しい方途も見えてくるはずだと指摘しながら、米国や日本に対しても、統一朝鮮が東アジアの平和と安定に果たす役割について積極的にアピールし、説得していく必要があると主張した。 |