現場から−孔順南(名古屋朝鮮初級付属幼稚園教員・32)

オリニの成長に感じる喜び

保護者、同胞に支えられ


 名古屋市内3校の朝鮮初級学校が統合され昨年4月、新たに名古屋朝鮮初級学校が開校して1年4ヵ月が過ぎました。大所帯を抱えて試行錯誤の連続でしたが、忙しさの中で改めて痛感したことは、ウリハッキョはアボジ、オモニ、同胞たちに支えられているということでした。

 統合後は学区も広がり、名古屋市はもちろん、一宮、知多、日進の各市からも児童、園児たちが通っています。1時間半以上もバスに揺られて登園する園児たちを迎えるたびに、アボジ、オモニたちの熱意と期待をひしひしと感じます。

 アボジ、オモニたちはいつも惜しみない協力を寄せてくれます。教室拡張工事、網戸の設置、手洗い場の増設、手作りカーテンの取り付けなどを行ってくれました。なかでもアボジたちが手作りで寄贈してくれた6メートルプールは、オリニ(子ども)たちの歓声と水しぶきに包まれています。

 アボジ、オモニたちの愛情に触れるたび、その期待と信頼に応えられるようもっとがんばらなくてはと心を新たにしています。

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 オリニたちの安全のため、教員たちは毎日、10台の通学バスに同乗しています。毎朝5時に起きて六時半からバスに乗り、オリニたちを迎えに行きます。2時50分には再びバスに乗ってオリニたちを送り、学校に戻ってくるのは5時半から6時頃になります。

 それからミーティングや次の日の準備などをしているといつの間にか9時、10時。帰宅後、倒れこむように眠りにつく毎日ですが、翌朝、オリニたちの「アンニョンハセヨー!」の声を聞くと、「今日もがんばるぞ」と力が湧いてきます。

 毎日がめまぐるしく過ぎる中で何よりもうれしく思うのは、オリニたちが毎日元気よく通ってくる姿を見ることです。「ユチウォンが楽しい」と言ってくれるオリニたちを抱きしめながら感じる喜びは、何ものにも代えられません。

 ウリマルを覚え、ウリノレ(朝鮮の歌)を歌い、踊る姿を見るにつけ、笑みがこぼれ、心が温かくなります。オリニたちが「ソンセンニム(先生)!」と私たちを呼び、ウリマルを使って一生懸命に話そうとしている姿を見ると、「ウリユチウォンってすごい」と感じます。

 私たちは、日本で生まれたオリニたちがユチウォンという空間の中で、楽しみながら自然に、自分が朝鮮人であることを感じ、朝鮮人として生きていく力を養えるよう努めており、ウリマルや歌、踊り、遊びなどを通じてオリニたちの五感に働きかけています。3〜5歳の間に見て聞いて感じたことは一生忘れません。その一番大切な時期にどんな環境の中で何を与え、何を感じさせるかはとても重要です。

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 現在、わが校には240人の児童、園児がいますが、同じ同胞とは言え実に多彩です。日本人のオモニ、南から来ているアボジやオモニ、日本国籍のオリニや障害を持ったオリニ…、いろいろな環境で育ち様々な事情を持つ人たちが朝鮮学校という一つの場に集まっているのです。日本にいながらも民族心を持ち、母国語を話す――それを実践できる場がウリハッキョだからであり、民族教育の素晴らしさと重要性を感じているからです。

 その素晴らしいウリハッキョを守り、民族教育を発展させていく責務は私たちにあります。オリニたちの未来を任された立場にある者として、やるべきことは山のようです。

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