みんなでチャレンジ!フラワーデザイン(3)
葬式−お別れ花
花と人の関わり−(2)
枕花。両脇は造花でもよい。中央は生きた花を。故人の好きな花や、季節の美しい花を差す。すかしゆり、菊、マトリカリア(白、小花)、ソリダコ、アワ、ゴットセフィアサ(葉)、カンガルポーを使用。(写真、盧琴順記者) |
先月の「結婚式の花」とはうってかわって、今回はお別れの花。
なんだか少し気分が沈鬱(うつ)してしまいそうだが、「死」は万人に必ず訪れるもの、そして花は「ゆりかごから墓場まで」ついてまわる。 祭壇に飾る花は宗教や、住む地方によって違ってくるらしい。 中国の漢民族は、故人がどのように亡くなったか、また亡くなった時の年齢などで使う花の色は違う。100歳近くで亡くなった場合など、天寿をまっとうしたということでそれはほとんどめでたい事だとし、ピンクやあわいオレンジなどの明るめの花を使う。 またニュージーランドの原住民マオリ族の葬儀ではシンボルの色である赤、緑、黒がたくさん使われるため、赤い花をよく使う。 葬儀の花と思われる白い花もアメリカのフィラデルフィア州では婚礼の花だ。彼らは観葉植物の寄せ植えなど緑を主に使う。これは「故人が忘れられませんように」という遺族の願いが込められている。 葬儀の花を選ぶポイントを権先生に聞いた。「葬儀の時に使う花は、新鮮な花、香り高い花を選ぶこと。そして何よりも重要なのは故人の好きだった花もしくは故人の思い出のつまった花を選ぶことでしょう。たとえば『あの人はとっても明るい人だった』と思うならイメージに合わせて、ひまわりをたくさん飾ったり。決まりきったものより、故人の気持ちを考えることが大切だと思います」。 イギリスのダイアナ妃の告別式にあった真っ白なチューリップのフラワーデザインが印象的だった。ダイアナ妃の好きな花がチューリップだったのかどうかは知らないけれど、送った人の気持ちがこちらにまで伝わってきた。 花の種類、色にこだわらず好きな花に囲まれてあの世に行きたいというのは自然な感覚だろう。 「好きな花や、祭壇に飾っておいてほしい花を家族に言っておくのもいいですね」。花の種類を指定するとなると、季節とのかねあいもあって量が集まらない、ということもあり得る。「ピンク系で」などと、好きな花色を指定しておくという手もあるし、また、季節ごとに飾ってほしい花を指定しておくのも、いいかもしれない。 「花は何をいわずともそっとよりそい、労をねぎらい天国への道案内をしてくれるような感があります。つぼみから花咲き、満開な時期を経てしおれ、枯れてしまう花のさまはまるで人の一生のよう。その花は人の誕生、門出、そしてピリオドまでを飾ってくれるのです」 イラクにある6万年前の墓、シャニダールの墓では遺体をおおう土から花粉が発見され、この当時から既に人類は死者に花を手向けたことが知られた。 花に囲まれ安心して眠って欲しいという故人への気持ちはこんな太古の昔から受け継いできた、人間の本能に近い感覚なのかもしれない。(金香清記者、毎月第1金曜日掲載。次回は「旬の花の楽しみ方」次回のみ第2金曜) TOPの枕花と同じ花を使ってデザインしてもらった。 同じ物を2つ作ってL字が位牌の両脇を囲むように飾るデザイン。 小さなコップに吸収性スポンジを入れて、そこに花を差す。 シンプルでとても落ち着いている。また菊が本来のイメージとは違った感じに生けてある。 束で売っている仏花はそのまま供えず、このように一工夫することができる。 また、葬儀で使った花をいかす事もできる。 権正愛講師 1989年マミーフラワーデザインスクール講師資格取得。ブライダル「サラン」の講師を経て女性同盟分会、朝銀モンラン会などで教室を開設。ほか女性同盟レセプション、絵画展、ピアノコンクールなど各種会場のフラワーデザインを手掛けている。去年の7月に女性同盟西東京が主催したファッションショー「私達の衣装−チョゴリ」でも活躍。現在コプニーフラワーデザイン代表。 教室の問い合わせ=TEL、FAX 042・327・3766 |