医療−最前線

「食」と生活の改善


 長い夏休みが始まった。病院にも、水の事故や熱中症などで運ばれてくる子供も多い。

 親や社会が少しの関心を子供に持つだけで、事故の防止につながるので、この夏は子供と過ごす時間を増やしてほしいもの。

 その中で、今年の夏に親子でぜひ取り組んでほしいのは、食と生活習慣の改善である。かつて成人病といわれた生活習慣病について、食事と健康の関連が注目されてきた。

 そして、食のリズムが崩れた若い世代にも、肥満、高コレステロール血症、糖尿病などの成人病や味覚障害、アレルギー疾患が増えている。また、病気ではないのに体の不調を感じている子供が増えているようだ。

 食生活が乱れた原因として考えられるのは@三食をきちんと食べない(朝食の欠食、主食の間食化、塾通いによる夕食のスナック化)A定まった時刻に食事しないB食べ物の種類の偏り(好きなものや、軟らかく、かまなくてよいものだけ食べている)C加工食品、中食、外食による栄養の偏りと化学物質の摂取D機能性食品・栄養捕助食品の依存――などあげたらきりがない。

 さらに、食文化の伝承の断絶として、家族の会話の場でもある団らんの減少、脳に必要な栄養素などの不足で感情のコントロールができず、心の健康を脅かしつつある点が懸念される。これらの背景には、核家族化、子供たちの心や体がむしばまれていく姿が映し出されている。今夏、親子の対話からまず始めてほしい。(李秀一・医療従事者)

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