人・サラム・HUMAN

くやしさバネに栄光つかむ

大阪朝高ボクシング部・梁学哲監督


 「ここまでの道のりは本当に長かった。今までの大会では幾たびも判定に泣かされてきた。民族教育がもたらした金メダル。民族の誇りを強く感じる」

 大阪朝高ボクシング部を率いて20年。梁学哲監督(41)は興奮と感きわまった口調で優勝の弁を語った。紅潮した表情、嬉し涙が止まらない。

 朝鮮大学校文学部卒業後、大阪朝高に赴任、同時にボクシング部を率いた。当時、民族排他の風潮がまん延する中で、大阪府内の高校と練習試合すら組めない状況だった。そんな中、歯を食いしばり、「大阪府下で一番になってやる」との闘志をむきだしにして、学生と一丸になって、練習に打ち込んできた。

 努力が開花し、94年、朝高に高校総体出場への道が開かれた。出場元年から金メダルを目標に、東京朝高ボクシング部李成樹監督と切磋琢磨してきた。ここまで春の全国選抜大会で2人の金メダリストを育てながらも総体では結果を出せなかった。幾度も「判定」に泣かされてきたからだ。

 「今まで満足した思いで試合場を後にしたことはない。悔しさが脳裏を離れなかった。常に目に見えない朝鮮人差別と戦ってきた」

 やりきれない気持ちと悔しさ。監督を辞めようと思ったことも1、2回ではない。だが、屈辱と挫折を味わいながらも選手、OBらの絶大なる信頼が彼の背を後押しした。ボクシングをこよなく愛する指揮官は学生らに民族の誇りと闘争心、社会の荒波にさらされても負けない強い精神力と忍耐力、人間性をたたきこんだ。それが悲願達成の原動力となった。

 金メダル獲得に誇らしげな笑みを浮かべる梁監督。新たな決意を胸に、連覇に向かって貪欲に突き進む。

もっともっと強くなるケ・スニ

国際柔道連盟A級審判員・玄昌貴さん

 7月27日からドイツで行われた世界柔道選手権大会に審判員として参加した玄昌貴さん。

 「今回52キログラム級で金を取ったケ・スニはまだまだ強くなりますよ。今までは階段の踊り場にいた状態、これから階段を駆け上り、アテネ五輪でまた金メダルをとる可能性大です」

 試合前、ケ・スニ選手に横に逸れず前から攻撃するよう助言したそうだ。ケ・スニ選手は決勝後「先生の言う通りにしたら勝てました」と感涙にむせんだ。

 今後の優望株として、日本の田村亮子に惜しくも敗れ銀メダルにとどまったリ・キョンオク選手(48キログラム級)、男子のウオン・ヨンチョル選手(66キログラム級)らの名をあげた。

 「朝鮮は長らく食糧不足など厳しい状況にありました。選手たちも例外なく大変な思いをしました。そんな中、金、銀のメダルを勝ち取ったウリ選手たちは本当に頼もしい」

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