みんなの健康Q&A

夏の皮膚病(下)−紫外線による皮膚病

日中の外出をさけるなど万全な対策を
花弁状のシミが残る場合は皮膚科へ


   夏に紫外線をあびるとどのようになるのでしょう。

   7、8月の強い紫外線をもつ日光を、短時間のうちに過剰にあびると、6時間後には熱をもって赤く腫れ上がり、24時間ほどでピークに達します。赤みは1週間程度持続し、激しい場合には水疱ができることもあります。全身倦怠感、発熱、頭痛、悪心などの全身症状がおきることもあり、3日目頃から色素沈着がおこり、2週間ほど持続します。10日目ころからポロポロと皮がむけだします。日焼けには2段階があり、この熱をもって赤くなる日焼けは中波長紫外線(UVB)の作用で生ずる反応で皮膚が赤くなってヒリヒリする日焼けです。その後、色素沈着を生ずるのは(UVA)の作用によって生じる反応で皮膚が小麦色に焼ける日焼けです。

   日焼けの予防はどうしたらよいですか。

   日焼けを予防するには、10時から14時の間は日光をあびないことが大切です。海でもできるだけ日陰にいること。太陽の下にでるときはサンスクリーン剤を使用することなどを守ってください。また、日本人の場合、少しずつ日焼けをして軽度の色素沈着をおこすことで、水疱を作るような過度の日焼けを予防することができます。

   日焼けをした時の手当てについて教えて下さい。

   軽度の日焼けならば、放っておいても治ります。ヒリヒリするときは、氷水に浸したタオルで冷湿布をしてください。赤く腫れてヒリヒリが強い場合や、水疱ができた場合などは、副腎皮質ホルモンを塗ります。重症の場合は、補液などによる全身管理と副腎皮質ホルモン剤の内服薬や注射など全身投与を行います。症状が強い場合は、皮膚科医による治療を受けられたほうがいいと思います。

   昨年夏に海で1時間ほど砂場で寝てしまいました。背と腕が真赤になり、大小の水ぶくれがでたあと、たくさんの花弁状のシミが生じました。だんだん濃くなるようで皮膚ガンになるのではないかと心配です。

   一回だけの海水浴でガンになる可能性は少ないです。シミは時間が経てば薄くなっていきます。とくに、花弁状にたくさん残るようでしたら、皮膚科を受診しましょう。予防法は、日光が最も強い時間帯(午前10時〜午後2時)の外出を避けるとか、日焼け止めクリームをこまめに塗り直すことです(クリームの効果は一般に3時間)。若い頃に繰り返し肌の日焼け、日光暴露をしていますと、中年以降に発ガンすることもあり得ますので、皮膚を直接日光や紫外線から守るように、若い頃から気を配りましょう。

   紫外線から皮膚を守るための本当に効果があるよいファンデーションがありますか。ファンデーションの成分についておしえてください。

   ファンデーションの成分は、着色顔料、白色顔料、体質顔料、パール顔料などの粉体部分と、それらを分散させる基剤部分からなります。それぞれの配合の割合を変えることで、種々のものが作られます。着色顔料と白色顔料は、色調の調整や被覆力(カバー力)をコントロールします。体質顔料は着色顔料の希釈剤として、色調の調整、肌への伸展性(伸び)、付着性(つき)、汗や皮脂の吸収性といった、使い心地や光沢の仕上がりに必要です。パール顔料は、色調にパール状の光沢を与えます。基剤には、流動パラフィン、ワセリン、ワックス類、スクワラン、合成エステルなどが使われています。

 「新技術で紫外線を防御」

 最近、紫外線が皮膚に与える影響について研究されるにつれ、害のある紫外線から肌を守る必要性が認識されてきています。ファンデーションも、紫外線防御効果のあるものが多くでています。もともとファンデーションの粉体として使われている二酸化チタンや亜鉛華は、被覆力が大きく、紫外線の遮断効果がありますが、仕上がり感が悪くなることから、あまり多量に配合できませんでした。ところが最近では、微粒子にする技術が進んだため、微粒子二酸化チタンを使用するようになっています。これは紫外線防御効果が高いだけでなく、微粒子であることから肌につけても白っぽくならず、自然な仕上がりが得られます。このほか、亜鉛華、ジルコニアなどが紫外線防御剤として使用されています。日光を浴びる時間の多い人、日差しの強い季節の外出や戸外でのスポーツには、サンスクリーンが必要になりますが、日常生活における紫外線防御には、最近の紫外線防止効果のあるファンデーションで十分といえそうです。(医学博士)
 鶴橋中央診療所(TEL  06・6731・2579)

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