それぞれの四季

「チャングンハンメ」

金春正


 猛暑、酷暑、激暑などと表された今年の熱い夏。本当に暑い期間というのはそう長くはないようだが、すべての命の営みを止めてしまったような今年のよどんだ暑さの中で、一人涼風を受けているような幸福感に浸っている。

 2歳年上の姉の長女が無事出産したのだ。姉を病で亡くしたのは3年前。オモニ、姉が逝き、また姉が…。度重なる肉親たちのあまりにも早すぎる旅立ちに、一人残された私。どれほど打ちのめされただろうか。

 悲しみ、絶望感、虚脱感、怒り、恐れに襲われていた頃、若い2人が恋愛し、結婚したのだった。

 そういう訳で、新たな命の誕生を人一倍、心待ちにしていた。姪は8月2日に陣痛が始まって入院。微弱陣痛でなかなかお産が進まず、3日の午後、7時3分、やっと男の子が生まれた。3642グラムだった。

 「オギャー」という産声を聞いて思わず、バンザイをした。姪の夫はというと、ビデオを片手にただウロウロするばかり。産声を聞くと、われに戻りビデオに赤ちゃんの声をひたすら録音し、私を撮り涙声で「ありがとう、ありがとうございます」を連発していた。

 ひとつの命をこの世に生み落とすということは、厳粛なことである。

 これからは与えられた一つの命を若い夫婦が、互いに相手をいたわり、尊重して、自分たちの責任で育くんでいけるよう「チャグンハンメ」として温かく見守ってやりたいと思う。

 病院からの帰り道、満月の美しい夜空を眺めながら「オモニ、お姉さんたち、ありがとう」と何度も、何度もつぶやいた。(生涯学習振興公社非常勤職)

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