私たちのうた

二つの川を一つの流れに/李庸岳


 水がくる 風をおこし
 激しく流れる二つの川が
 ぶつかりあい渦巻き大河をつくる偉大な瞬間
 燦然たる光が中天に広がり
 
 水よりも先に歓声をあげ
 抱き合う労働者、農民たちの中で
 娘と青年も思わず抱き合った
 
 それはほんの一瞬 しかし娘が
 頬を染め一歩ひきさがると
 人々は水を追いそこらじゅうにワアと走り出す

 (中略)
 
 むせかえる暑さも荒れ狂う吹雪も
 工事の速度を遅らせはできなかった
 二つの川を一つの流れにした
 今日の感激を何にたとえよう
 
 何にたとえようか 困難にぶつかるたび
 先頭にたった青年突撃隊
 二人の若者の心にずっと秘められてきた
 口に出すこともなかった美しいその事情を
 
 娘と青年はならんで座り
 流れる水に足首をひたし、そしてきく
 風をおう力強い流れが
 いくどもいくども耳打ちする声
 「言いなさい。今日のような日には
 はやくはやく言うべきですよ・・・」

 「平南灌漑詩抄」より(1956年)

 ―延豊貯水池を流れ出た大同川をクムソン養魚場より送り出された清川江と合流させる灌漑水路工事を終えた感激の中で―

 リ・ヨンアク  1914−1971。咸鏡北道生まれ。1934年渡日、1939年よりソウルで記者生活。1950年北に。詩集に「ふるい家」(1938)、「李庸岳詩選集」など    (訳・全佳姫)

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