今週のスポット

志望は外科医、「心のケアも」

祖父の死を機に目指す

愛知県名古屋市在住の河命守さん(21)


 愛知県名古屋市に住む河命守さん(21)は名前そのまま「人間の命を守る仕事」として、医者を目指している。愛知朝鮮高級学校を卒業後、三浪し今年の春、晴れて名古屋市立大学医学部に入学した。

 医者になろうと思ったのは中学1年生のとき、病に倒れた祖父の死に直面したのがきっかけだった。大切な家族の命が「助からなかった」ことを目の当たりにし、人の命を救いたいと強く思うようになった。「命守」という名前をつけてくれたのも祖父である。

 本格的に勉強を始めたのは朝高入学直後から、参考書と格闘する日々が続いた。でも、本命の名古屋大学に不合格。「勉強不足だから仕方ない」と、「初回」はまだ肩を落とす程度だった。

 1年間、新聞配達やコンビニのバイトをして学費を稼ぎながら予備校に通った。そして2度目の挑戦。「手ごたえはあった」が、またもや不合格。落ち込んだが、「もっと徹底的に勉強する」と迷わず3度目の挑戦へと意欲を燃やした。しかし、それも不合格…。

 絶対合格という自信があっただけに、「ショックが大きくて1ヵ月間、何もする気が起こらなかった」。

 それでもあきらめなかった。「受かるまで頑張る」と決意はいっそう固まった。両親も反対せずに背中を押してくれたという。

 強い意志と努力、忍耐力のかいあって、やっと長い冬は明けた。念願の合格。「やったー!」と心の中で叫びながらも、すぐには信じられなかったという。

 河さんは外科医を志しているが、「心身ともに弱まっている患者に、病気とたたかい、元気になりたいと思う力を与えられるよう心のケアもしていきたい」と語る。

 「人の生死に携わることへの責任感と倫理観、その両方を持たなければならないところに医者の厳しさがあると思う。それにはまず自分自身、死に立ち向かえる強さと冷静さを養っていかねばならない」(順)

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事