世界初のロボフェスタ「スカベンジャー競技」
神奈川初中高、高級部ペア見事に決勝へ
ロボットをテーマにした世界初の総合的な科学技術の祭典「ロボット創造国際競技大会神奈川2001」(「ロボフェスタ神奈川2001」、主催=同実行委員会ほか)が神奈川県の横須賀(8月25日〜9月2日)、川崎(9月8〜16日)を始め、相模原(10月6〜14日)、横浜(11月16〜25日)の4市でずい時開催されている。そのうち、8月30日に横須賀市南体育館で行われた「ロボットグランプリ・ロボットスカベンジャー競技」に、神奈川朝鮮初中高級学校の生徒と教員22人が出場し大会関係者、マスコミの注目を浴びた。(社会・生活欄に関連記事)
直前まで調整 ロボットスカベンジャー(掃除ロボット)競技は、 小学生以上の2人が1組となり、主催者が提供したモーター、タイヤなどの材料で製作したオリジナルロボット(ブルドーザーの縮小版)をリモコン操作しながらオレンジ、白の2色のピンポン玉を迅速、かつ正確に区分けし、その数で点数を競う。予選上位25のチームが決勝に進出する。 競技には関東一円をはじめ山形、山口、沖縄県など全国各地から102組(204人)、神奈川初中高からは11組(22人)が出場した。1つの学校からの参加としては最多人数だったため、大会関係者の関心と期待を集めた。 そんな周囲の視線をよそに、生徒たちは競技開始直前までロボットの調整、修理に余念がない。 キット(材料一式)は大会1ヵ月前に出場者の手に届く。ほとんどの生徒が夏休み中もクラブ活動に参加していたため、製作と練習に費やす時間がなく、大会前日の1日だけでどうにか完成させた生徒もいた。 失敗の連続、苦闘 トップバッターは金輝樹(初4)・尚輝(初1)兄弟ペア。本来は兄の輝樹くんと父親の金銀植さん(44)が一緒に出場する予定だったが、尚輝くんが前日になって急に「出たい」と言い出した。ロボット名は輝樹くんの名前をとった「フィス号」。 おお張り切りの2人だったが、開始直前にトラブル発生。前輪がはずれてしまい、あえなく出場辞退となった。一番悔しそうだったのは金さんだ。子どもらと会場裏で綿密に原因を調べていた。 鄭貴奈(中2)・金玲彗(同)ペアの「ロボビン」は、途中で倒れたり玉のキャッチに失敗したりと苦闘。出場後、「自由自在にロボットを操るのは難しい」と苦笑していた。 朱相済(初5)・相日(初3)兄弟ペアの「ロボチュー」は、自宅でアボジの助けを借りながら製作した。緊張からか、コートに立つ2人の表情は硬い。スムーズに玉を運べず低い得点に終わった。相日くんは、「スピード勝負なのにマイペースでやりすぎた」と反省点を分析。今後の課題にしていた。 大きすぎたショベル 唯一、決勝に進出したのが高秀明(高2)・梁誠鎬(同)ペア。開始前から注目度ナンバー1の彼らが登場すると、一斉にカメラマンが取り囲んだ。というのも、昨年11月に川崎市で開かれた同大会のプレ大会「第4回ロボットグランプリ」の同競技で、神奈川朝高生ら(今競技は不参加)が優勝したことから、下馬評が高かったためだ。 この日、競技を収録していたNHK教育テレビリポートも同時に始まった。 しかし、初出場の2人は緊張とプレッシャーで自作の「ロボマッチョ」を思うように動かせないうえ、ショベルが大きすぎて小回りがきかない。59点を獲得して20位に食い込んだが、120点をとった1位との差は61もある。 決勝には、ショベルの先端を2センチ切って挑んだので、予選よりも玉は順調に運べたかのようだったが、結果は52点。トップの半分にも及ばなかった。「必ずリベンジする」と梁くんの決意は固い。 審査委員長の米田完・東京工業大学助教授は、「昨年より他校の出場者の水準が向上していた。ペア同士のチームワークを円滑にし、もっと個性的でリスキーなマシンを作ってほしい」と課題点を上げていた。 「楽しかった」と笑顔の生徒たち。「来年も絶対出たい」と意欲を見せていた。(李賢順記者) |