梅の香りが硝煙臭に


妻と共に祖母の墓参りをする全晩奎委員長

 ソウルから南西へ約60キロ。かつて梅香里は、その名のとおり梅の香りに包まれる美しい村。村民たちは広い干潟と海の幸に恵まれ、代々漁師をしながらここに住んできた。

 1951年、梅の香りは硝煙臭に変わった。米軍が当時高温里と呼ばれていた梅香里一帯に射撃場を作り、毎週60時間ずつ機銃攻撃、爆弾投下演習を行った。群生する梅の木はブルドーザーで倒され、代わりに射撃訓練用の射的が置かれた。漁師の命の糧である海は、週5日立ち入り禁止になった。梅香里海岸に面する農島は射的になり、鳥は逃げ、緑が消えた。村民の35%は騒音により難聴に悩み、自殺者も絶えない。

 昨年5月、米空軍所属A―10攻撃機1機が射撃場近辺に爆弾6個を投下。この爆発で近隣5つの村の170戸農家のガラスが割れ7人が負傷した。

 この事件を機に、耐え続けてきた住民の怒りが燃えあがり、南朝鮮全域に広がった。

 一方、ソウルの龍山基地では米軍兵による殺人、強かん、放火、強盗などの犯罪が尽きない。しかし南朝鮮とアメリカ間の不平等なSOFA(「韓米駐屯軍地位協定」)のために南朝鮮当局は米軍犯罪者の身柄を拘束すらできない。被害者たちは、いつも泣き寝入りするしかなかった。

 映画「梅香里」は、漁師をするかたわら、地域、村民、家族を守るために闘い続けてきた、「梅香里米軍爆撃場閉鎖住民対策委員会」―全晩奎委員長ら梅香里の住民、そして1993年米軍による南朝鮮女性のレイプ殺人を機に結成された、「米軍犯罪根絶運動本部」の鄭柚鎮前事務局長ら女性たちによる渾身の闘いのドキュメンタリーである。

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