取材ノート

情報の共有めざす焼肉業界


 低価格チェーン店の出現、異業種からの参入などによって、激しい競争が繰り広げられている焼肉業界。そんな中、厳しい競争に打ち勝とうと、ざん新なアイデアを講じて地元の厚い支持を得ている同胞の店を「経済・経営」覧で紹介している。

 取材を通じてさまざまなアイデアを聞くことができたが、共通点は惜しみない営業努力と「正直な商売」をめざしているということだ。「正直な商売」とは、良質な肉を安価で提供するということである。ある店主は、「お客様自身が仕入れ値を知り、どの店が良心的かを見きわめる時代が必ずくる」と先を読む。

 また、若者などに好評の低価格チェーン店が拡大していくことについては、焼肉ユーザーを広めるというプラスの部分を強調。いずれはワンランク上の店に流れるだろうし、その意味で低価格店はユーザーを育てていると見る。

 いずれの店舗も、将来を見据えた経営を手がけており、いまはそのための土台をしっかりと築いていこうという姿勢を感じた。

 こうした業界の流れに沿って、各地の商工会では数年前から焼肉セミナーを催している。内容は経営セミナー、店舗見学、意見交換や体験座談会など。情報の交換・共有という点で、従来の業界とは違った新しい時代の業界のあり方を模索していると言える。

 こうした場で出会った同胞業者同士が仕入先やタレの共有をはかるという試みもある。協賛店を集い、アンケートに答えれば商品券が当たるイベントを催している地域もあった。同胞同士助け合い、共生・共存・共栄していく努力が各地で見られる。

 20世紀に同胞が築き上げたとも言える焼肉業界で、21世紀にも生き残るためには当然自助努力が求められるが、そのためにも同胞の団結力と同胞間の情報の共有が不可欠だと思った。(基)

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