春・夏・秋・冬 |
ブッシュ大統領が国際テロ組織との戦争を宣言して以来、マスコミが伝える米国の表情は開戦一色である。その場合、湾岸戦争時の多国籍軍による攻撃を構想しているという。「国際社会対国際テロ組織との対決」を強調するのは、そのことが頭の中にあるからだろう
▼ソ連消滅に伴う冷戦の構図の崩壊の中で、一気に台頭してきたのは民族主義だった。その特徴は宗教に裏付けられていることだろう。例えばボスニア紛争。大別すればキリスト教、イスラム教による争いであり、細分化すれば各宗教宗派が相争う構造となる ▼今回の同時多発テロの主役は、イスラム原理主義グループといわれる。このグループは、パレスチナ和平に反対。それを進めるアラファト議長にも強く反発し、イスラエルに対する各種テロを繰り返してきた。イスラエルも軍事攻撃を重ね、つい先日にはアラファト議長の右腕をミサイルで暗殺するというテロで応酬した。軍の仕業か諜報機関モサドによるものなのか、いずれにしても「国家テロ行為」である ▼今回の同時多発テロと、日常化しているパレスチナにおけるテロ、軍事攻撃の応酬。この2つの出来事は異次元のものなのだろうかと考えてしまう。米国には「自国」とみなすグレナダ、パナマに侵攻し意にそぐわぬ政権を転覆、指導者を強制連行した過去がある。アジアにおいても同じ過去を持っている ▼いかなるテロ行為も絶対に容認できない。しかしブッシュ大統領のいう戦争が「異なる文明に対する偏見や警戒心」を助長させるものになってはならない。(彦) |