英語で朝鮮と世界の架け橋に

朝鮮大学校外国語学部3年、英国で初の語学研修


6月24日、ロンドンに到着
 朝鮮大学校外国語学部3年生39人(男子19、女子20)が、6月23日から7月19日までの約1ヵ月間にわたって、イギリスで語学研修を行った。英会話のスキルアップ、国際交流、異文化に対する理解を深めることを目的に今年度から実施されたもの。学生たちは、ホストファミリー宅に滞在しながら、2大学園都市であるオックスフォードとケンブリッジの6つの学校に分散して勉学に励む一方、イギリス国内をはじめイタリア、フランスなど周辺国の観光も満喫した。また、各国の留学生や市民との貴重な出会いもあった。

世界は広い

 学生たちは、6〜7人ずつのグループごとにそれぞれの学校に通った。授業は月曜から金曜までの週5日間、午前9時から午後3時半まで5時間半にわたってみっちり行われた。

 各学校では登校初日にクラス編成の判断基準となるプレイスメントテストが実施され、学生らはその結果によって各クラスに配置された。そして、ヨーロッパやアジア、アフリカなど各国の留学生にまじって英会話の授業を受けた。

 「静香さんは「国や年齢、学ぶ理由もそれぞれ異なる人たちと、英語を共通語にして意思の疎通をはかれることがうれしかった。世界は広いと思えた」という。「聖華さんは「さまざまな国の人でも英語を使えば通じ合える。世界における英語の位置と力を改めて感じた」と語る。

 同行した担任の金鐘基助教授(43)によると、研修先としては米国、カナダ、オーストラリアなども候補に上がったが、英語の母国であり、歴史的、文化的遺産がたくさんあることからイギリスを選択したという。

文豪の生家も

 授業の後や週末、学生たちはミュージカルや映画を観たり、美術館に足を運んだりとロンドンを中心に国内観光を楽しんだ。中には、学校内の図書館にこもって予習・復習に熱を傾けた学生もいる。

 7月15日から17日にかけては全員でイギリス小旅行も実行。劇作家シェイクスピアの生家があるストラッドフォード・アボン・エイボンやウォーリック城、中世の町チェスター、国立公園スノードニアなどを見学した。

 自然の豊かさに驚いたといゔ明実さんは、「広い空の下、緑多い大自然の中で過ごす時間はとてもゆったりしていた」と語った。

 一方、研修後、希望者30人がイタリアやフランスなどのヨーロッパ諸国を周遊した。

出会いが刺激に

 研修期間、学生らは各人がホストファミリー宅に滞在した。黄禎伊さんは、1人暮らしのおばあさんと犬のサミーが暮らす家で生活。「言葉が少しずつ通じるようになり、会話もはずんだ。『3人』でのんびり、気ままに過ごす時間がとても楽しかった」

 ホストファミリーがいなくなるというハプニングに見舞われた学生もいる。というのは、とりあえずなんでも「YES」と返事をしていたら、「1週間、出かけてもいいか」と聞かれていたのだ。

 一方、学生らにとって他国の留学生との交流は貴重な体験になったようだ。

 よく互いの国のことを話し合ったという朴英珠さんは、「朝鮮大学校や在日同胞の話に興味を抱く友だちの姿を見ながら、民族教育を発展させてきた総聯の大きさを実感した」と語る。

 逆に権香順さんは、「周りの友だちの大半がアジアといえば中国、日本しか知らなかった。在日朝鮮人のことを説明したら『しょせん日本人と同じだ』と言われショックを受けた。私たちの存在を世界にもっとアピールしなければと思った」と話す。

各国留学生に交じっての語学授業

 「ヨーロッパの人はアジアのことをほとんど知らない。だから、英語を武器にして私たちが朝鮮と世界の架け橋になれるよう、英語や世界のことをもっと勉強していかなければならない」と金仙美さん。

 人との出会いからたくさんの刺激を受けたという鄭順姫さんは、とくに、南朝鮮の留学生との出会いが1番感慨深いと話す。「同じ民族なのに話しかけづらかったり、話しても意見が食い違ったり…。互いの現況を語り合いながら、長い間分断をひきずってきた歴史の重さを感じさせられた期間だった。研修を通じて、私自身が民族についてもっとよく知らなければならないと思った」

(関連記事)

座談会/英国語学研修で学んだこと― 朝鮮大学校外国語学部3年生

日本語版TOPページ

 

会談の関連記事