くらしの周辺
「戦争」と治安強化
いやはやとんでもない事件が起きた。テレビを見ていて映画のワン・シーンかと何度も目を疑ったのは私だけではなかっただろう。今にも戦争が起こりそうな雰囲気であるが、そうなれば私たちはまた湾岸戦争の時と同じく、まるでテレビゲームの画面を見るかのようにアメリカによる戦争実況中継を見ることになるのだろう。そして私たちがそれに気を取られている間に、国会では治安体制強化が叫ばれ、出入国管理をはじめとした外国人の管理、監視の強化が進められるのだろう。外国人排斥の動きが強まることに危惧の念を抱く。
テロという手段は間違っている。しかし、テロにしても戦争にしても矛盾がないところでは起こらないということ、そして誰もが今回痛感させられたように、その災禍は何時、誰に降りかかるか分からないということも私たちは銘記すべきであろう。グローバリゼーションといった言葉を持ち出すまでもなく、世界は相互依存・相互関与を強め、交通、通信をはじめとする技術の進歩により地球は狭くなっている。それとともに自分が関与していない、あるいは全く関心のない矛盾によってもたらされる災禍に巻き込まれる可能性は日増しに高まり続けている。いや大惨事に限定しないなら私たちは矛盾による影響を日常的に受けているといえる。このことは政治的無関心層の多い日本社会の影響を少なからず受けている同胞を含め、人々に根本的な問題を投げかけている。(金東鶴) |