グローバル新風

世界経済の流れ


 先日、姉が結婚した。

 ハネムーンは南太平洋のタヒチだったのだが、米多発テロによる影響で飛行機が急きょ欠航し、行けなくなってしまった。米国を中心に広範な地域での航空便が乱れただけに、世界中の新婚さんが影響を受けた事だろう。

 あの衝撃的で痛ましい事件の直後から世界の株式市場では航空株が売りこまれた。米国の航空会社は今後の見通しの暗さから、軒並みリストラを発表し、会社によっては倒産の恐れもあるという。

 今後、短期的には観光全般にも被害が及び、海外出張なども含めた世界の「ヒトの流れ」への影響が考えられる。

 「報復」の長期化や複雑化によっては、次は物流という「モノの流れ」にも飛び火する可能性がある。米国への輸出依存度が高く、SCMなどで生産関係の深いアジアや中南米にとっては、米国からのモノの流れが滞ることは死活問題にもつながる話だ。

 しかしより深刻なのは「カネの流れ」。世界金融の中心であるニューヨーク市場はひとまず取り引きを再開したが、貿易センタービル倒壊による周辺金融機関には人材損失の影響、システム障害等の恐れがまだ残る。

 また事件直後に原油や金などの商品が暴騰したが、株価や債権も含めた金融市況も今後の波乱要因になる。最悪の事を想定すれば、先のアジア金融危機のような国家の「破産ドミノ」もありうる。

 「戦況の流れ」次第では世界経済は同時に「不況の流れ」へと突き進むだろう。

 ちなみに姉夫婦は代わりに沖縄を旅行中。こちらには「信頼の流れ」を育んでほしい。国際情勢も同様に。(李達英=朝・日輸出入商社pulgasari@yahoo.co.jp)

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