現場から−呉賢守(大阪朝高3年)

お互いの立場から学び合う

日校生と深める友情


 近年、朝高生と日本の高校に通う同胞生徒(以下、日校生)との交流が活発化しています。

 日校生が参加する最大のイベント、サマースクールには朝高生も積極的に参加し、日校学生会(日本学校在学朝鮮人学生会)の文化公演を見たり、一緒に討論をしたり、ご飯を食べたり、ゲームをしたり、夜通し話をしたりして、どんどん仲良くなっていきます。

 ほかにも、春と秋に大阪朝高で開かれる日校生と朝高生の「団結カンスッペ(講習会)」で室内ゲームをしたり、討論をしてお互いの理解を深めています。2年前に行われた大阪学生会の文化公演には、300人以上の朝高生が駆けつけました。

 朝高で行われる文化祭や運動会に、学生会のトンムたちが参加してくれることも増えています。最近では「在日の星」、ボクシング世界チャンピオンの洪昌守選手を、一緒に応援しています。

 僕が住む地域の朝青東成支部でも数年前から、朝高生が日校生のトンムたちにウリマルを教えたり、支部のイベントに共に参加するなど、活発な交流が行われています。

 しかし数年前までは、朝高生と日校生の間にそれほど深い関係はありませんでした。

 朝高委員会の中で、学生会・日校生と交流しようという案が出たのが3年前。そして2年前、当時の朝高委員会の先輩が地域活動の経験をもとに交流を本格化するための準備を整えました。

 さらに昨年4月、全国各地12校の朝高を拠点に日校生と朝高生の出会いと交流を図っていこうという「1万人フレンドシッププラン」が全国規模でスタートしたのをきっかけに、最近では多くの朝高生が地域の支部に通い、学生会活動に協力し、日校生との交流を深めています。

 大阪では今や、支部の学生会に朝高生が顔を出すのも珍しいことではありません。学生会がない支部では朝高生が自主的に活動して多くの日校生を集めてくるなど、まさに大活躍です。

 朝高生が学生会の活動に参加することを、日校生も喜んでくれています。なぜなら朝高生は何年も民族教育を受け、祖国の言葉、歴史などをよく知っているからです。学生会のトンムたちは、日本の学校では学べない朝鮮の言葉や歴史、自分のルーツを知りたがっているので、朝高生との交流を通じてそうしたことを学ぼうとしているのです。

 僕たち朝高生も、日校生との交流を通じて自分たちの置かれている立場の重要性を再認識しています。

 同胞社会の中で民族教育を受けている朝鮮人生徒はわずかで、ほとんどは日本の学校に通っています。当たり前のように民族教育を受けてきて、朝鮮人として生きることが当然のことだった僕にとって、そんな彼らが学生会の活動を通じて民族性を育もうと一生懸命に活動している姿は衝撃的でした。

 僕たちは与えられた環境の中、言わば温室の中で育ってきたので、民族教育を受けるありがたさをわからず育ってきたのではないかと気がつきました。また、だからこそ自分たちの置かれた立場を深く認識し、学生会のトンムたちと交流を深め、お互い理解しながら共に力を合わせていくことが大切なのではないでしょうか。

 たまに感覚の違いから意見が食い違ったりすることもありますが、同じ民族としてお互い心を開くことができれば、力を合わせて大きなこともできるはずです。

 日校生に教えることも多いですが、反対に教えられることもたくさんあります。僕にとって日校生との交流の場は、同胞同士友情を育み楽しく過ごす場であるのはもちろん、自分を成長させる場にもなっています。

 これからも、積極的にこの活動に関わり、多くの友だちを作っていきたいと思っています。

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