各界人士  新年のあいさつ

2002年をアジアの夜明けに

京都大学名誉教授  上田正昭


 20世紀は第1次世界大戦や第2次世界大戦が象徴するように戦争の世紀であった。そして自然の破壊や地球の汚染がいちじるしく進行し、さらに民族の紛争や宗教の対立が激化して、難民が続出した人権受難の世紀であった。

 21世紀を平和と人権の世紀にという願望もはかなく、2001年には20世紀の矛盾がより深刻化したが、2002年こそ新世紀のまことの新生の年であって欲しい。20世紀の政治・経済さらに文化をリードしたのは欧米であった。20世紀はアジアの歴史と文化の輝きが凋落した時代であった。

 自然と人間の共生、多文化共存の哲学や思想は、欧米の歴史では評価されなかったが、欧米が喪失し欧米が見失った共生・共存の哲学と思想は、アジアの歴史と文化に奥深く内在している。2002年がアジアの世紀の夜明けの年となることを心から期待する。そのような新たな潮流の中で、南北の自主的平和統一も前進するにちがいない。「冬来りなば、春遠からじ」。厳寒に耐えての輝く未来を待望する。

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