全国に朝鮮学校アピール

元旦放送の人気番組「新仮装大賞」
京都第3初級6年生の「通り雨の波紋」見事合格


寒さにもめげず一生懸命練習に取り組む児童たち〈京都第3初級学校運動場、昨年12月30日〉
 新春早々、明るい話題が同胞社会に届いた。1日夕、東京・後楽園ホールから全国に生中継されたTV番組「欽ちゃん&香取慎吾の第65回新仮装大賞」に京都朝鮮第3初級学校の6年生(14人)が出場した。一般の人々が工夫をこらした思い思いの仮装を競い合う、家族的な温かい雰囲気が人気の長寿番組。第1回放送から23年、65回目となる今回は、全国11カ所での予選(参加総数7731組)を勝ち抜いた50組が出場した。朝鮮学校としての出場は初めてのことだ。

4校が予選に

 昨年4月。京都の各朝鮮初級学校(第1、第2、第3、舞鶴)の教員たちが一堂に会した。「京都から同胞社会に明るい話題を発信したい。がんばる子どもたちの姿を全国の同胞たちに見せたい」。そして、「仮装大賞」に白羽の矢がたった。

 予選には4校すべてが参加した。そのうち見事、京都朝鮮第3初級学校が本選出場を果たしたのだ。

 なぜ「仮装大賞」だったのか。作品を指導した、赴任1年目の金英煥教員(28)は、「明るい雰囲気でみんなが楽しめる、というのが第1の理由だった。『仮装大賞』はまさにうってつけだった」と話す。しかし、何事も「初めて」というのは難しい。また、ただ出場するだけでは意味がない。やはり「朝鮮学校らしさ」を出したい…。

 そこで思いついたのが「サンモ」だ。「サンモ」は朝鮮半島独特のもので、帽子の中心に、先端に白い帯状の布をつけた回転式の細い竹の棒をつけ、頭と首の反動を利用してプロペラのようにクルクル回す。豊作を願う踊りなどで用いられた。「サンモ」で民族をアピールすればどうだろうか、というアイデアだった。

地域同胞の応援

 参加は6年生全員。練習は、11月から始まった。子どもたちは全員、クラブ活動に参加している。また本分である学業に支障をきたすわけにはいかず、練習は1日1〜2時間が精一杯だった。

 「簡単そうに思えたサンモだが、意外と難しくて苦労した。うまくいくのだろうか、と不安だった」(責任者の成基浩くん)

 同胞たちもさまざまな形でバックアップした。オモニたちは「サンモ」と衣装作りを手伝った。アボジや朝青員もお金をカンパするなど、地域同胞が一体となり、子どもたちを支援した。

 11月25日の予選。主催者側は、「サンモ」を取り入れた作品の珍しさに興味を示し、京都第3は見事、予選を突破した。予選通過後、子どもたちは冬休みを返上して練習に励んだ。同胞たちの顔を思い浮かべてがんばったという。

プレッシャー

 元旦の本番当日。京都第3の順番は50組中の43番目。出番が近づくにつれ、子どもたちの顔にはありありと緊張の色が見えはじめた。ほかの作品が次々と合格するのを目の当たりにし、プレッシャーに包まれる。でも、全国の同胞たちが見ている――と、気持ちを引き締め、舞台に臨んだ。

 ベニヤ板などに絵を描いた大道具は、地面にできた水たまりを上から見下ろした形になっている。水たまりの部分はくり抜かれ、全身紺一色の子どもたちが待機。雨音が流されると、一斉に「サンモ」をクルクルと回す。「サンモ」の白いテープが、雨のしずくが水たまりに作り出す波紋を表現。続いて横1列に並んで背中を客席に向けると、雨あがり、水たまりに映る虹になった。

香取君も挑戦

 「通り雨の波紋」は、なんとか合格点以上の16点を獲得した。司会の萩本欽一さんが「サンモ」に興味を示し、しきりに質問。「朝鮮のものです」と恥ずかしそうに答えたのは林伸伍くんだ。香取慎吾さんも珍しそうに「サンモ」にチャレンジ。賞は取れなかったが十分注目されたと言える。地元同胞からは「一生懸命な子どもたちの姿を見て活力がわいた」などの感想がたくさん寄せられたという。

 「地域同胞がひとつになって達成した成果だと思う。同胞社会を明るくする一助になればうれしい。またチャレンジしたい」(金教員)(韓昌健記者)

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