在日朝鮮青年の日

― 各地の集いから


 日本の社会では「荒れる成人式」が話題だが、各地の在日同胞社会では父母、恩師らも交え和気あいあいとした雰囲気の中で行われた。

教員、コック、医者 国際社会… 広がる夢

民族性守り立派な朝鮮人に(埼玉)

久しぶりに顔をそろえた同級生たちと「乾杯!」
それぞれの母親を前に感謝の手紙を朗読する
東京朝鮮歌舞団に所属する徐明生さん(左から2番目)は、北関東歌舞団のメンバーと共に歌声を披露

 13日にさいたま共済会館で行われた「2002年度20歳を迎える埼玉朝鮮青年を祝う集い」(朝青埼玉県本部主催)。開始1時間半前の午後5時頃から、続々と父母らが集まり始めた。

 その中の1人、白恵実さん(50)は、長女の宋伶花さんを祝うためにやってきた。宋さんは朝鮮大学校文学部2年生。朝鮮学校の教員を目指して勉学に励んでいる。

 「これまで一貫して民族教育を受けたおかげで、民族性をきちんと身につけた人間に育ってくれた。これからの同胞社会はう余曲折も多いと思うが、この日を機に朝鮮人として立派に生きていってほしい」と話す。

 セットンのチマ・チョゴリに身を包んだ宋さんは、「これからは自分で責任を持って何事もやらなければと思っている。新しい世代の私たちが、21世紀の同胞社会を担う道で先頭に立つべきだと自覚している。立派な教員になるためにしっかり学びたい」と語った。

 集いの最後では金昌樹さん(専門学校生)、李佳林さんの2人が代表して、父母への感謝の手紙を読み上げた。ケーキ店の店長として働く兄が成人した弟のためにシュークリーム100個を携えて訪れるなど、場内は家族や先輩が一緒になって祝うアットホームな雰囲気に満ちあふれていた。

◇                       ◇

 大人の世界に入った彼ら。将来、さまざまな分野で活躍すべく決意を新たにしている。

 李佳林さんはコックをめざしてイタリア料理店で修業の毎日だ。「今年からちゅう房に入れてもらえる。1からやり直しのつもりでがんばりたい」と話す。高校まで日本の教育しか受けてこなかった李さんは高校時代、埼玉日校学生会会長として活動した。「今は仕事が忙しくてなかなか朝青に出られないけど、暇を見つけて出たい。同胞の集まりは久しぶりだけど、やはり安心できますね」と、周りの友人たちと楽しそうに語らっていた。

 西新井病院に勤める張剛欣さんは、「職場の先輩たちの反応が変わってきたことで、20歳になった実感がわいてきた。医療関係の資格をとるために、勉強に励みたい」。

 国際社会で活躍すべく、中国語を学ぶために昨年から延辺大学に留学中の文瑛淑さん。「21世紀はアジアの時代だと思う。中国語だけでなく、ネイティヴに近い母国語も身につけて、語学の力で活躍の場を広げたい」と夢は広がる。

 「激動する情勢の中で、21世紀の在日朝鮮人運動の主人公である新世代の青年たちに対する、総聯組織と同胞の期待と信頼は大きい」

 安正一・総聯県本部委員長は祝辞でこう述べた。

 集いは、1、2世が守ってきた民族性を引き続き守りながら、朝鮮人としてたくましく生きていく彼らの姿と決意をあますところなく示す場となった。

民族の自覚持って

力発揮できるように(千葉)

きれいに着飾ったチマ・チョゴリで「ハイ・ポーズ」

 千葉では、総聯千葉県本部主催で「2002年オソルパラム大同窓会および成人祝賀会」が12日、千葉市の東横イン千葉ポートスクエアで行われ、20歳を迎えた28人の青年が参加。150余人の県下同胞もお祝いに駆けつけた。「オソルパラム」は、千葉朝鮮初中級学校を卒業した29歳以下の集まり。

 集いでは、宋岩佑・総聯県本部委員長があいさつ。「今年を輝ける20歳にするかは、1人1人の自覚と努力にかかっている」と述べながら、「これからも同胞社会の柱としてがんばってほしい」とエールを送った。

 2部の宴会は、ビンゴゲーム、20歳を迎えた青年たちの合唱などで終始にぎわった。

 新たに20歳を迎えた青年たちの中でもひときわ目を引いたのが、ディズニーリゾート勤務の金成美さん。「日本社会で働きながらも、同胞の1人だという責任感と自覚を持って生きていきたい」と抱負を語った。

 湘南大学総合政策学部2年生の金哲泰さんは、「成人となった責任感を自覚している。大学卒業後は同胞社会で力を発揮できるよう、残る2年間勉学に励みたい」と述べていた。

「しっかり自分の人生を」

今日から新たな出発(北海道)

久々に再開した級友とともに祝杯をあげる青年立ち

 朝青北海道本部主催「20歳を迎えた在日同胞青年を祝う集い」が6日、ホテルニューオータニ札幌で行われ、北海道朝鮮初中高級学校卒業生を中心とした対象者28人とその父母を含む関係者100余人が参加した。

 きらびやかなチョゴリとスーツ姿の青年たちでにぎわうなか、集いが始まった。

 20歳の青年を代表して、北海道商工会に勤める辛太植さんが「在日同胞社会の立派な一員として、今日から新たな出発をすることになりました。これからもその誇りを胸に民族を愛し、国を愛する精神を大切にしていきたい」と決意を述べた。

 会食、各種ゲームを楽しみながらの集いでは、チマ・チョゴリで写真を撮り合う姿、恩師や父母にあいさつする青年たちの姿などが見られた。

 趙瑠美さん(50)は、娘の高栄華さんのチョゴリ姿に目を細めながら、「栄華が初級部4年生の時、地元稚内市から北海道初中高の寮に送った。辛いこともあったが、立派な朝鮮人に育った姿を見てウリハッキョに送って本当に良かったと思う。これからは一成人として、しっかりと自分の人生を歩んでほしい」と語っていた。【北海道支局】

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