春・夏・秋・冬

 昨年、興業成績を塗りかえたアニメ映画「千と千尋の神隠し」は、見た人によっていかようにも解釈できる奥の深い映画である。が、物語自体はおく病で甘えん坊の主人公が夢物語のような出来事を通じて、ひと回りも二回りも成長する話だ

▼「スタンド・バイ・ミー」という米映画は、死体捜しという冒険を通じて成長する少年の姿を描いた。ラスト近くで主人公が少年時代を振り返ってつぶやく。「あの冒険から帰ってきた時、僕らにはいつもの町がやけに小さく見えた」。成長するということは、視野が広がることではないか、とこの映画を観ながら思ったものだ。広い世界に接すればするほど、人は大人になっていくのだろう

▼1月の第2月曜日はいわゆる「成人の日」。成人とは幼い者が成長することをいう。日本各地ではこの日、地方自治体が中心となって20歳を迎える若者たちを祝う式典を開くのがならわしとなっている

▼だが近年は酒を飲んで暴れたり、来ひんのあいさつにば声を浴びせるなど目にあまる光景が目立つ。これでは成人どころか、幼いまま成長が止まっているのではないかと思えるほどだ

▼同胞社会でもこの日を「在日朝鮮青年の日」と定め、全国各地でお祝いの集いが開かれる。記者が取材した埼玉で、成人たちは総聯県本部委員長の祝辞にもきちんと耳を傾けるなど、楽しい中にも粛々と式典が行われていた。「これからは両親に迷惑をかけられない」との声も聞かれた。そんな光景に接しながら、すがすがしい気持ちになった。やはり朝鮮の若者は最高だ。(聖)

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