これは「�｢」の方が本字で、「裴」は略字、俗字ということだが、古い時代には画数の少ない｢裴｣を用いた例もあるので、ここでは古文献の表記に従っておく。

　さて�｢氏の由来は古く檀君時代にさかのぼる。伝説によると、檀君には裴天生という臣下がいて、彼は南海地方（慶尚南道）へ派遣され､部族長に任じられたという｡

　その彼は、いつも赤い絹織物の衣服、つまり「緋衣（ピイ）」を着ていたことから、この２文字を合わせて「裴」、または「斐」を姓にしたという。

　�｢氏の本貫数は１２２。しかし元は１つといわれ、紀元前１世紀頃、古朝鮮から慶尚道一帯へ移った氏族のうち、慶州付近に定着した一族の中から�｢氏が生まれたと伝えられる。

　史書に見える�｢氏は、「三国史記」新羅本紀・聖徳王の７２０年、大臣に昇格した�｢賦（ペ・ブ）である。

　主な�｢氏の本貫は、慶州・金海・星洲・大邱・興海・侠渓・京山・咸興・昆陽などで、慶州�｢氏の始祖は、高麗の太祖・王建を助けて国土統一に貢献した大功臣・裴玄慶（ペ・ヒョンギョン）将軍である。

　彼の５代孫・裴元龍は金海�｢氏の始祖となり、その弟・裴天龍が星州�｢氏、また、その弟・裴雲龍が大邱�｢氏、さらに、その弟・裴五龍が興海�｢氏の始祖となった。昆陽�｢氏の始祖は、裴雲龍の１０代孫である。

　高麗時代、�｢氏の家門は２人の有名な将軍を輩出した。その１人は�｢仲孫（ペ・ジュンソン）で、彼は蒙古の侵略勢力と結託した国王一派に反対し、左別抄軍・右別抄軍・神義軍からなる三別抄軍を率い、蒙古侵略軍を痛撃して壮烈な死を遂げている。

　もう１人は�｢廷芝（ペ・ジョンジ）で、わずか１１歳で蒙古侵略軍との戦いに加わり、のちに元の哈丹（ハブタン）撃退の戦闘で勇名をはせた。大邱�｢氏の出である。

　壬辰倭乱時も多くの勇者を生んだ。星山�｢氏の�｢興立もその１人。彼は閑山海戦や幸州山城戦闘でつねに陣頭に立ち、豊臣軍を撃退する大きな戦果を上げた。

　著名な学者や文人も多い。星州�｢氏の�｢祐は世宗時代の碩学で、首陽大君の王位簒（さん）奪に抗議して辞職し、成三問らが処刑されるや、血書でもって新王権を非難した。また�｢尚瑜も広く知られた学者である。

　時代はさかのぼるが、渤海時代、日本の平安京へ派遣された親善使節の中に、裴★（廴に壬に頁）（ペ・ジョン）とその子・裴★（王偏に羽に人に彡）（ペ・リュ）の名が見える。

　裴氏父子と、菅原道真、その子・淳茂との父子二代にわたる交流と友情は、｢菅家文草」「扶桑集｣などに詳しい。朝・日親善の心温まる逸話として、長く語りつぐべきであろう。次回は成氏の予定。(パク・チュンイル、歴史評論家)

会談の関連記事