発足7年目 ムジゲ会の新年会
音楽、ゲームで楽しい1日
会員10余家族とボランティア
障害児を抱える家族が集うムジゲ会(東京)の新年会が20日、東京・北区の東京朝鮮中高級学校多目的ホールで開かれた。発足から7年目となるムジゲ会。この間、総聯も組織的な取り組みを見せるようになるなど、同胞社会における障害者問題に一石を投じてきた。近年、同じような会も各地に増え、昨年はそれらを結ぶ同胞福祉連絡会も発足した。普段は親同士の集まりを主とするムジゲ会だが、新年会は家族でともに楽しむ場として開いている。
朝高生が文化講演
東京と埼玉などから障害児とその家族、10組あまりが参加した新年会は、自己紹介から始まった。 またこの日、東京朝高と朝大の学生および一般のボランティアが30人近く訪れ手伝った。東京朝高ではボランティアを募ったところ希望者が多く、10人に限定したほどという。朝大にはとくに声をかけていなかったが、10人ほどが自主参加。またムジゲや同胞福祉連絡会の活動をバックアップする総聯中央の同胞生活局からも担当者らが出席した。 新年会ではまず申桃順会長が、昨年11月に福祉セミナーを開いた朝大生たちから子どもたちにクリスマスプレゼントが贈られたことを紹介し、添えられていた手紙を読み上げた。 次に東京朝高生による文化公演が行われた。 ハンドベル演奏、朝鮮舞踊、民族楽器合奏、コーラスの順で行われた公演は、子どもたちに大好評。舞踊には目を輝かせ、楽器演奏や歌には手をたたいて笑顔を見せていた。出演した生徒たちも、とくに最後のコーラスでは自分たちで考えたというかわいい振り付けつきで、一緒に踊りだす子どももいた。 続いてハンドベルや木琴、チャンゴなどさまざまな楽器を使い、朝高生と子どもたちが一緒に遊んだ。 音楽通じてひとつに
食事をはさみ、音楽療法を学ぶ朝大研究院の成基香さん(23)による、音楽で遊ぶコーナーだ。まずはあいさつから。キーボードをたたき、一人ひとりの名前を巧みに織り込みながら「アンニョンハセヨ」とコール・アンド・レスポンスで歌っていく。自分の名前を呼ばれるのはうれしいもの。それも歌で呼びかけられると自然に元気な返事が出る。それまで集中していなかった子どもも、どんどん引き込まれていく。 次は袋を回しながら、「何が入っているのかな?」。 「イチゴ!」。一人ひとり、中から果物や野菜の形をしたマラカスを取り出しながら答えていく。そして最後にみんなでマラカスを振りながら歌う。 続いてみんなで輪になって、さまざまな種類の鳴り物の楽器を回しながら遊ぶゲームや、輪の真ん中の子が小太鼓を持ち、周りの子に差し出してたたかせるゲーム、床にひいた布を使って集まったり広がったりするゲームなどが行われた。みんなとても楽しそうだ。 この春から東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程で本格的に障害児教育について学ぶことになった成さん。同胞福祉連絡会と協力し、音楽を通じて各地の同胞障害児がひとつになれるようなことを構想中だ。とりあえずは東京からでも定期的に集まって楽器を鳴らす、子どもたちの音楽サークルのようなものを作れないかと、この日集まった会員たちに呼びかけていた。 話ができてよかった
音楽で遊ぶコーナーの間、オモニ、アボジたちは子どもたちを横目に談笑していた。いつものことだが話は尽きない。 この日、遠く長野から来たオモニがいた。金光美さん(34)は昨年夏、地元長野で行われた同胞福祉連絡会のイベントに参加したが、当時は他人事だと思っていたという。しかしその後、長野初中付属幼稚園に通う娘の李美希ちゃん(5)に自閉の症状が見られると指摘されることがあった。周りに同じような悩みを抱える同胞もいなくて、少しでも何かを得たいとこの日訪ねてきたという。「まだどうすればいいかわからないことも多いが、先輩オモニたちといろいろ話ができただけでもよかった」と笑顔で話していた。 一方この日、大活躍したボランティアだが、男子生徒が多いのが目についた。その1人、東京朝高3年の全★(王偏に晋)鎬君は、「今日も参加している同級生の弟が障害児で、その子の家に行ったときによく遊んでいた。ムジゲの話を聞き、違う子たちとも遊んでみたいと思って軽い気持ちで参加したが、とてもいい経験だった」と話していた。 新年会は、大盛り上がりのビンゴゲームで幕を閉じた。 |