壮大なスケール、 大スペクタクル
準備着々 大マスゲーム「アリラン」
4月末から6月末にかけて、朝鮮の首都平壌では前例のない10万人規模の大マスゲーム・芸術公演「アリラン」が行われる。24日発朝鮮中央通信によると、現在、脚本が完成して本格的な演出作業に入ったところ。その出来栄えに期待が集まっている。マスゲームと言えばいわば朝鮮の「名物」。それも最新技術を結集し、世界に知られる朝鮮民謡「アリラン」をテーマに民族の歴史と文化を壮大なスケールで描くという前例のない作品だけに、朝鮮では世界中から観客を誘致しようと国をあげて取り組んでいる。公演の開催計画自体は11月に公表されたものの、いまだその全貌はベールに包まれている。朝鮮中央通信などが伝える情報からその内容に迫ってみる。
公演は週に6回
平壌駐在の本紙記者が広報担当者に聞いたところによると、「アリラン」の公演は4月29日〜6月29日の2カ月間、朝鮮最大の収容能力を誇る平壌のメーデー・スタジアム(15万席)で行われる。公演は1週間に6回ずつ、公演開始時間は日没時間の前後を予定しているという。出演するのは、内外の各種コンクール受賞歴のある芸術家、芸 その名のとおり、作品のテーマは世界的にも有名な朝鮮半島に伝わる民謡「アリラン」。この「アリラン」をモチーフにして、民族の歴史と文化を壮大なスケールで描く一大スペクタクル作品だ。 民族的色彩を全面に押し出した音楽、舞踊、そしてサーカス、背景台(スタンドのいわば人文字で描く絵)を調和させてひとつの作品として昇華させる今公演「アリラン」は、内容においても形式、手法においても、前例のないユニークかつざん新なものであり、規模も壮大なスケールだと報じられている。 序章、第1〜4章、終章から構成されており、使われる音楽は、朝鮮各地に伝えられてきた各種の「アリラン」と、「涙の豆満江」などの啓蒙期(1900年代初)の歌謡を中心にしているという。またグラウンドでの体操・ダンスには新体操的な要素を組み合わせながらも民族的な色彩を大胆に取り入れ、従来の組み体操的なものとはかなり違う印象だという。 総演出を手がけるピパダ歌劇団のキム・スジョ総長(70)によると、「アリラン」をマスゲームのテーマにしたのは「大衆性があり、民族の誇りを抱いて堂々と生きる人々の姿を表すのに適している」から。民族の悲哀と喜び、笑い、幸せの歴史が凝縮された内容で、朝鮮をよく知らない人でも「アリラン」を見れば分かるように作られているという。 従来と違うレベル
作品制作は「大型化、律動(リズム)化、立体化、科学化」をスローガンに進められている。すでに90以上もの背景画の原画が完成しており、使われる多数の歌曲や管弦楽曲の作曲、アレンジも終わっている。 さらに舞台装置には最新技術が導入されており、大型スクリーンやレーザー光線をはじめ、スタジアム全体を3次元的に演出するための各種照明機器や特殊効果のための装置類の準備も最終段階で進んでいる。公演当日、スタジアムでは雷鳴がとどろき噴水が吹き上げ、虹が浮かび上がるなどの一大スペクタクルが観客を驚かせる予定だ。 朝鮮ではこれまでも数々のマスゲームが行われてきたが、「それらとはレベルが違う。スタジアムの巨大な空間を3次元的に駆使し、『21世紀のマスゲーム』を見せたい」とキム総長は話している。 各種観光ツアーも 朝鮮国家観光総局、朝鮮国際旅行社、朝鮮国際青少年旅行社では、「アリラン」鑑賞を中心に平壌市内観光と朝鮮が誇る名作歌劇「春香伝」「血の海」、世界的に評価の高いサーカスなどの鑑賞を組み合わせた2泊3日ほどの各種ツアーを用意して、南や在外同胞、各国からの観光客を迎える用意を進めている。各地からの問い合わせや予約も続々と来ているという。 1月下旬からは朝鮮中央テレビで約5分間のコマーシャルも流され始めた。シンボルマークやポスターなども多数作られている。ポスターはいたるところに貼られており、平壌はまさに「アリラン」一色となっている。 これまで朝鮮では多くのマスゲームが行われてきたが、冬場に準備、練習が行われるのは初めてだという。練習場となっている平壌市内の各体育館や広場、また公演会場であるメーデー・スタジアムには防寒用の臨時の屋根がつけられた。練習は順調に進んでおり、2月末から3月初めには実際の会場で合同練習が始まる予定だ。 |