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「避難道路の指定」「シェルター整備」「避難中の傷病者支援」「自主的民間防衛組織の設立」。そして、「自衛隊による物資利用の優先権」「港湾封鎖」「電波管制」「民間機の運航統制」――。このほど明らかにされた、極秘裏に日本当局が行ってきた有事法制「第3分類法令」原案の全容である
▼シェルターとは聞こえは良いが、何のことはない、空襲に備えた「防空壕」のことであり、「自主的民間組織」とは「隣組」を意味する。60歳半ば以上の読者なら、もうピンと来ると思うが、侵略戦争中の日本の状況をそのまま再現しようとするものにほかならない ▼有事法制は「日本が武力攻撃を受けた場合」に対処するとの美名のもと、対社会主義との対決を叫ぶ米国の強い要請によって「韓日軍事協力」に着手されようとした77年から、防衛庁内部で作業が進められてきた。これまで自衛隊法など防衛庁所管の「第1分類法令」、道路法など防衛庁以外の省庁所管の「第2分類法令」の研究が終了。国会で法案化を待つだけの状態にある ▼今回、明らかになった「第3分類法令」は、在日同胞はむろん日本で生活する人々の基本的人権に関わってくる物だけに、ひた隠しにされてきたようだ ▼その代表が「隣組」。「広辞苑」によると「国民統制のために作られた地域組織、町内会などの下に作られ、食糧その他生活必需品の配給などを行った」とある。しかし、それ以上に「隣人を監視」する役割を、重要に付与されていたことを忘れてはならない。軍靴がひたひたと押し寄せてきている。(彦) |