センターよもやま話―生活の現場で@

地域同胞の生活拠点

同胞をつなぐ/兵庫・須磨垂水、愛知・南の場合


須磨垂水で週2回行われている空手教室

南センターに集まり編集会議をするスタッフ

カルチャー講座と情報誌発行

 総聯は、5月の中央委員会19期第2回会議で同胞の生活に根ざした組織作りを目指し、同胞生活奉仕事業、民族教育の充実を運動の二つの大きな柱として打ち出した。同胞生活奉仕事業とは、各地域に設立された同胞生活相談綜合センターの活動を指す。センター設立を打ち出してからの2年半、各地での特色ある活動を紹介する。    (編集部)

同胞の心の傷をいやそうと

 「やー! やー!」

 子どもたちの元気な声が響き渡る。兵庫・須磨垂水センターの講堂には週2回、5歳から初6の子どもたちが集まり空手に打ち込む。審査を間近に控えていることもあり、子どもたちはもちろん琴基秀さん(29)の指導にも熱が入る。

 基本練習、型の練習、組み手とメニューをこなしていく子どもたちを、オモニたちが頼もしそうに見つめている。

 須磨垂水センターでは、チャンゴ講座、朝鮮語講座、絵画教室、キッズクラブなどさまざまなカルチャー講座を開いている。

 「カルチャー講座を始めたのは96年4月。阪神淡路大震災から1年が過ぎて、同胞たちの生活も落ち着きつつある時期でした。そんな時に支部、組織は同胞のために何ができるのか。経済的に助けることはできないが、心の傷をいやすことはできるのではないか。そう思って始めたのがカルチャー講座だったんです」と、同センターの金徹所長(47)は振り返る。

 当時、センターを訪ねてくる同胞はほとんどいなかったそうだ。とくに若い世代の同胞の中には、場所すら知らないという人もいた。そこで、カルチャー講座をきっかけに、同胞が訪ねてきやすい場所にしようという狙いもあった。

 カルチャー講座開設に先立ち、センターでは各カルチャー講座の内容、講師、日時、費用などをまとめたパンフレットを作った。一方で、カルチャー講座システム化のため受講費集金封筒を作るなど、便利で合理的なさまざまな工夫をこらした。99年6月からはセンターの情報誌「シンパラム」を月1回発行し、カルチャー講座の情報を掲載している。講座によって若干の差はあるものの、毎年4月に開講式を、翌年3月に修了式を行っている。

 同胞たちの評判も上々で、「キッズクラブが始まってから、これまでの『重苦しい』という支部のイメージがかなり変わった。月1回は子どもを預かってくれるので、美容院に行ったりと自分の時間を有意義に過ごせる。それにオモニ同士のコミュニケーションも取れるようになった」(姜純烈さん・33)とのこと。

 「講座を続けるうえで困難も少なくないが、これからもセンターが同胞の生活拠点になるように、講座を定期的に、そしてさらに高い水準でできるように努力しますよ」と、金徹所長は微笑んだ。

身近で役立つ情報を発信

 「今回の1面の内容はどうなってるの?」「敬老の日にちなんで、1世のメッセージを集めたものにしよう」

 愛知県名古屋市にある南同胞生活綜合センターに集まったスタッフたちが、夜遅くまで編集会議を行っている。同センターでは、1月15日から地域同胞のために情報誌を発行している。「トンネット」と名付けられた情報誌には、毎号地域の身近な話題や役に立つ情報が満載されている。

 編集会議は毎月1回のペースで行われる。スタッフは現在11人で、ほとんどが30代。編集長を務めるのは孔竜圭さん(36)。「情報誌を作ろうとみんなが集まったのは昨年9月末。形が決まるまではそれこそ毎週集まって討議を重ねました。今では同胞たちから『読みやすい』『知っている人が出ているから隅から隅まで読んでいる』と好評です。最近ではページ数を増やしてほしいとの意見もあるくらいです」と顔をほころばせる。

 南地域には600戸の同胞世帯がある。「トンネット」はそのすべての世帯に無料で配られている。発行にかかる費用はどうするのかとの質問に、「お店紹介の広告料でまかなっている」とのことだった。

 「トンネット」は4ページで構成されており、「とんねニュース」や「Club&Group」「南のニューフェイス」「この店、あの店」などの企画が盛りだくさんとなっている。3カ月に1回の「トンネット」は、現在4号まで発行されているが、回を重ねるたびに同胞からの情報もどんどん入ってきている。

 また、「トンネット」の中にセンターやサークルのチラシを織り込んだことで、民団や未組織の同胞からセンターに相談が来ることも多くなったという。

 センターの鄭洙永所長(37)は、「『トンネット』は着実に同胞の中に浸透しつつあり、おかげでセンターにも色々な相談が寄せられるようになった。今後も『トンネット』を活用して地域同胞に貢献したい」と抱負を語った。(李松鶴記者) 

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