留学同医療系学生の集まり「KS医療ネット東海」

健康診断、病院見学、学習会など医協の協力で現場体験


 日本の各大学・短大・専門学校で学ぶ同胞学生の集まりである留学同。政治・経済・語学・法学・理工などさまざまな分野で学ぶ学生たちが網羅されている。その留学同で今春、医療系学生の人的・学術的交流を深めることを目的にしたKS医療ネットを全国4ブロック(関東、東海、関西、西日本)に立ち上げた。日本の医療系の大学では、卒業間際の生徒同士が勉強会などを設けることはあるが、KS医療ネットのように実践を踏まえた活動はほとんどしておらず、こうした活動は日本社会でも珍しい。留学同活動の面でも、学問を深めながら留学同も同時に活性化できるものとして、注目される。積極的な活動を展開している、留学同東海地方本部傘下に作られたKS医療ネット東海を紹介する。

 KS医療ネット東海には現在、留学同メンバーの3割強にあたる14人の学生が集っている。医師、歯科医師、看護士、薬剤師、作業療法士、理学療法士、歯科衛生士、リハビリテーション、検査技師などを目指す学生たちで、朝高出身者に比べて日本の高校出身者が若干多い。

 専門分野は違うものの、今後の医療分野では「チーム医療」が求められているだけに、この分野でネットワークを構築するのは社会の流れに即したものと言える。

 結成のきっかけは1996年秋、名古屋で開かれた医協の学術報告会に、留学同東海の医療系の学生が分科会の受付などのスタッフとして参加したことだ。それを機に、学習会や忘年会など、医協東海支部の行事に参加するようになった。今春、「医療系の同胞学生たちの結束、モチベーションをよりいっそう高めていこう」(代表を務める具滋樹さん・三重大学医学部6年)と結成に至った。

 この間、学生たちは学習会のほかにも医協会員が春に行う朝鮮学校生徒の健康診断に97年から参加。カルテの記入など初歩的なものではあるが現場での経験を積む機会を得てきた。聴診器を手にすることのできる学生もいる。また共和病院(大阪)など医協会員が経営する病院も見学している。

 医学部の場合、大学の授業の一環として現場での実習を積むのは5、6年になってから。人の体は教科書どおりにはいかないので、実践を1つでも多く積むことがとても大切だ。そのためこうした機会は、現場を早くから知り視野を広める機会につながるものとなる。

 幹事を務める名古屋市立大学医学部2年の河命守さんは、結成と活動内容の意義についてこう強調する。

 「まずは医協との関係が深まった。メンバー間では同胞社会の発展に尽くすべきという意識が生まれ、またよりいっそう強まってきている。生涯の仲間を作る場になりつつある。それに医療は広く深く学ばなければならないが、それには現場を知り体で覚えるのが一番。現場のことを現場の人から学べる意義はとても大きい。みな積極的に参加している」

 KS医療ネット東海は月1回、食事会を兼ねた会合も開いている。連絡は留学同東海(TEL 052・733・8739)まで。(羅基哲記者)

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