春・夏・秋・冬

 「統一とはこうしてやってくるのだろうか」。最近の動きを見ていると、そう思えて仕方がない。釜山アジア大会はその代表的な例だろう。限定的とは言え、北の応援団が南の地を踏むことなど、ほんの少し前まで考えられなかった。彼らを乗せた「万景峰―92」号が釜山港に入港した際には、地元の漁民が統一旗を掲げた船を繰り出して歓迎したという

▼KBS交響楽団の訪北にともない実現した南北交響楽団の合同演奏会は朝鮮半島全土に生中継された。北で行われる演奏会が南で生中継されることなど、かつてあっただろうか。その後のMBC公演団の平壌公演もその例にならった。「南北同時進行がブームになっている」とは本紙平壌特派員の報告だ

▼最近、訪朝した友人によると、軍事境界線付近の開城で京義線の鉄道工事が行われているのを目撃したという。この事業もなかなか進まなかったが、ここへ来て本格的に動き始めたようだ

▼朝鮮半島はひとつの領土なのだから、公演の生中継など技術的には決してむずかしいことではあるまい。それを阻んできたのが「分断の壁」だった。その「壁」があちこちで、そしてさまざまな分野で打ち破られている。その動きが大きなうねりとなって、最後の「壁」が突き破られ、その先にあるのは…。想像の先には希望が広がっている

▼こうした流れをせき止めることはもはやできないだろう。なぜなら、人々の間ではそれが当然のことになってきているからだ。その主役は南北、海外の同胞一人一人。「歴史は民衆が作るもの」だとあらためて感じる。(聖)

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