在日として何をすべきか
「ピョンヤン首脳会談の意味を考える」緊急シンポに参加して
当日は、台風21号が接近しつつある悪天候にもかかわらず、会場は満席となった。 基調報告を行った韓桂玉大阪経済法科大学客員教授は、「ピョンヤン首脳会談の意義とその背景、今後の展望について」と題し、朝・日平壌宣言の内容に触れながら、日本の対朝鮮政策是正の必要性について話した。 韓氏は、倭寇、豊臣秀吉の侵略から1875年の江華島事件に始まる朝鮮侵略と植民地統治、関東大震災時の朝鮮人虐殺など、日本が歴史的にとってきた対朝鮮政策について言及した。また、朝鮮戦争時の後方支援や「韓日条約」締結後、一貫して日本が朝鮮に対し敵視政策をとってきたことを指摘、南でも「韓日条約」破棄の声が高まっていると述べた。 そのうえで韓氏は、朝・日関係改善のカギは日本の過去清算であり、朝・日問題に冷静に対処していくことだと指摘した。 日本の歴史的な対朝鮮政策に関しては、康成銀朝鮮大学校歴史地理学部教授も克服すべき3つの過去として、▼1894年に始まる朝・日間の非正常な関係▼50年の朝鮮戦争勃発時からの非正常な関係▼65年の「韓日条約」締結からの非正常な関係――をあげ、これらの歪んだ関係は、すべて日本が作り出したものだと指摘した。 とくに康氏は「韓日条約」の問題性について、村山首相の戦後50年談話や98年10月の「韓日共同宣言」などに反映されているように、おわびはするが賠償・補償の法的義務はないとする「不当・合法論」であると述べた。 一方、姜日天在日本朝鮮社会科学者協会常任理事は、朝鮮での経済管理方法の改善措置や北南鉄道連結のための同時着工式、小泉首相の訪朝、新義州特別行政区創設など一連の出来事が、すべて「北朝鮮の窮状」というキーワードで結ばれている現状について言及した。これについて姜氏は、経済管理方法の改善は分権化、市場的調整の方向に進んでおり、これにより国際経済との親和性が増し、新義州特別行政区にしてもこれまで着々と準備を進めてきたものでその効果は絶大だと話した。 そのうえで、日本が朝鮮との関係改善に乗り出したもうひとつの大きな動機は、鉄道と道路、通信やガスのラインで結ばれた成長の北東アジアの要に位置するのが、朝鮮半島であったことだと分析した。 基調報告やコメントでも言及されたように、大局的に見れば、小泉首相の訪朝と朝・日平壌宣言の発表により、両国関係は改善へ向けて大きな一歩を踏み出したと言える。この現状を在日朝鮮人としてどのように受け止め、何をなすべきかということをあらためて考えさせられたシンポジウムだった。(李松鶴記者) |