創部39年の朝鮮大学校サッカー部、初のブラジル遠征

「生き馬の目を抜くプレーに驚き」


 在日同胞社会の中で最も人気の高いスポーツと言えばサッカー。同校サッカー部(金光浩監督)は1963年の創部以来、日本サッカー界と大学サッカー界の強豪チームとして名をはせてきた。しかし、最近まで公式戦には出場できなかったことから、80年代はじめまでは「幻の強豪サッカー部」とも言われた。その一方で、国家(朝鮮)代表選手をコンスタントに送り出してきた。最近では、歴史地理学部4年の河貴大さん(愛知朝高卒)が釜山アジア大会の国家代表に選ばれ、現在南の地を踏んでいる。サッカー部の近況を紹介する。

当面の目標は関東リーグ昇格

 サッカー部は近年、春は東京都大学リーグ、総理大臣杯、夏は日本大学と立命館大学との定期戦、秋は秋期リーグ、冬は新人戦というスケジュールをこなしている。01年度からは全国大会出場の権利を獲得。関東リーグおよび同リーグ昇格につながる都大学リーグ1部への参加が認められるようになった(以前は2部どまり)。都大学リーグでは現在3部。関東大学リーグに1日でも早く昇格できるよう、部員らは一丸となって練習に励んでいる。

本場の高い技術、精神学ぶ

 今年は7月15日から8月16日にわたって、初のブラジル遠征を行った。朝大のスポーツ部の海外試合出場はこれまでもあったが、遠征は創立以来初始めてのこと。

 遠征には主要選手20人を含む関係者ら総勢24人が参加し、W杯過去最高5度の優勝を誇るサッカー王国、ブラジルの高い技術とその精神を学んだ。

 一行は、ブラジルのソロカーバを拠点に活動。プロチームを持つソロカーバ・アスレチック・クラブの優秀なコーチ陣からのレクチャーや実習を受け、潜在能力をアップさせた。遠征中にはグァラニFCユース(世界大会優勝チーム)をはじめ、プロを目指すユースチーム(20歳以下など)と対戦し、7戦1勝4敗2引き分けと健闘した。

 体育学部4年の金明秀さん(神戸朝高卒)は、「ハングリー精神旺盛で、簡単に勝つことはできなかったが本場のサッカーを見て指導を受けた意義は大きい。とくに生き馬の目を抜くプレー、展開方法に接して、試合運びに関する視野が広まった」と振り返る。

 また高正寿さん(歴史地理学部2年、広島朝高卒)は、「集中していなかったら何をしたのかわからなくなるほど密度が濃かった。卒業後は、子どもたちにサッカーを教え、未来の国家選手を育てたい」と述べていた。

専属の監督とコーチ、設備も充実

 遠征のほか、数年前からは専属の監督、コーチが学生たちを指導している。ナイター設備も設置され、サッカー部強化のための対策が大胆に講じられていることがうかがえる。これもそれも朝大のアピール、朝・日友好親善、朝鮮学校全体のサッカー部強化にもつながるからだ。

 学生たちは卒業生や同胞らの期待を背負う一方で、自らの夢と希望を実現させるため、日々練習に励んでいる。

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