出発のうた
出発のときは
どこからともなく
出発のうたが聞こえてくる
あるいは旅立ちの決心が口ずさんでいるのか
降り注ぐ日の光のもと
力強く飛び出す出発もあれば
暗闇の中
黙々と発つ出発もある
人の数だけ出発の数
出発のうた
それぞれの出発は
転んだきり立てなくなったものもあり
倒れても倒れても
起き上がるものもある
傷まみれの体で帰ってきて
ふたたび飛び立つ再出発もある
過ぎさりし過去をかなぐり捨て
新しき出発点に立つ人の
勇ましき出発のうた
同じ出発でも
ゴールは違い
出発が異なっても
目的地が同じということもある
間違いだらけでも構うもんか
自分の出発のうたをつくれ
うそ偽りのない心の足のために
息を引き取る最期の出発のときまで
傷だらけのうたであっても
自分自身の出発のうた
何度でもうたってみたいものだ
立派なうたを
一度うたうより
ホン・ユンピョ 「チョンソリ」2002年夏号収録。(訳・全佳姫) |