閑話休題

林家いっ平さん真打ちに

「父を目標にがんばりたい」


 9.17。この日、帝国ホテルでは1400人ほどの招待客が出席して林家いっ平さん(32)の真打ち昇進を祝うパーティーが開かれた。

 エッセイストで、三平師匠亡き後もおかみさんとして一家を支えてきた母の海老名香葉子さんの招きで記者も出席した。森光子、渡哲也、北島三郎…芸能界のトップスターから政財界、一家が暮らす根岸の町内会長まで多彩な人々が一家の末っ子の門出を祝福した。

 いっ平さんが父と死別したのは9歳の時。大学の国際経済学科に学んだ後、父の総領弟子・林家こん平さんに入門。兄のこぶ平さん、義兄の春風亭小朝さんらに見守られて、テレビやラジオの番組を持つなど活躍の幅を広げてきた。

 今度、念願の真打ち昇進とあって、おかみさんは「みなさんのご期待に添えるようがんばるほかありません」と語ったが、その喜びはいかばかりかと思う。

 いっ平さんの目標は父。「古典や人情噺(ばなし)を大事にして、若い世代にも落語を親しんでもらえるよう頑張りたい」と端正な顔に決意をにじませた。父の友人たちはお祝いのスピーチで「華やかさは父譲り、顔の良さは父に勝る、後は実力を」と語り、満場を笑わせた。

 海老名さん自身も敗戦直後3年間の実体験をもとにした長編アニメ「新・うしろの正面だあれKAYOKO」の製作に取り組む。「このアニメを通して、のちのちまでも戦争の無残さを語り伝えたい。それが残された私の使命」だと言う。

 分野は違っても、母と子の前向きな姿に心を打たれた。(粉)

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