同胞結婚相談所

民族結婚に取り組んで9年

魏正・中央センター所長に聞く


 1994年3月にスタートして以来、同胞同士による「民族結婚」成就事業に取り組んできた「同胞結婚相談所」。各地の相談所を直轄する同胞結婚相談中央センターの魏正所長に、スタートから9年間の活動、今後の事業内容などについて話してもらった。
(文聖姫記者)

民族性守る上でのキーポイント

 在日同胞社会において民族性を守る問題は日ごとに重要さを増しており、その中でもキーポイントとなるのが結婚問題だ。

 まず、同胞の中で帰化者が増えている主な要因が「国際結婚」であること。あるアンケートの結果では40%にのぼる。

 そしてそれにともなう出生児の減少。85年に日本の国籍法が改正され出生時には2重国籍になるとはいえ、大体が日本国籍を選択する。出生児は1万人から4000人に減るとも言われている。出生児の減少は、朝鮮学校生徒の減少にも少なからぬ影響を与えるだろう。

 だからこそ「民族結婚」の問題は、ひとつの機関にとどまらず全機関挙げて取り組むべき重要な問題だ。そのような観点から、今月1カ月間を「集中行動期間」に定め、会員拡大などに努めている。

 ただ、そのためには完璧なシステムが必要になる。幸い9年間の実績を通じて、事業システム、内容、経験は備わった。

 会員が望めば、全国にオンライン化されたマッチングシステムを使ってすぐに理想の相手を探し出すことも可能だ。

同胞同士出会う場を提供すること

 同胞結婚相談所の会員システム「チョンシル・ホンシル」には、総聯系の同胞だけでなく、民団系や組織に属さない同胞も多数加盟している。内訳は3世が83%、2世が16%、4世が1%だ。

 朝鮮学校卒業生や総聯機関で働いている人ならいざ知らず、同胞同士が出会う機会は決して多いとは言えない。「民族結婚」を望んでいても、出会うチャンスがなかなかないわけだ。そういう人たちにもふさわしい相手を見つけてほしい。

 そのような目的から、出会いの場を求めている同胞たちに相談所の存在を知らせるため、これまでガイドブックやパンフレットを通じた宣伝、NHKやテレビ東京など日本のメディアを使った宣伝を行ってきた。

 インターネットのホームページの影響力は、予想以上に大きかった。これまで7万7000件のアクセスがあったが、特徴的なのは総聯とは無関係の幅広い層が「民族結婚」を考える場になったということ。

 ホームページの案内を通じて「出逢いのパーティー」に参加した人は全体の4分の1から3分の1にあたる。掲示板を通じて知り合い、交際、結婚にまで発展した人もいたようだ。こちら側はメールを通じて感謝の言葉をいただき、初めて知ったほどだ。このように有効活用されているのはうれしい限りだ。

全国的範囲で理想の相手を探して

 これまではハードの部分を整えることを優先させてきた。まず、カウンセラーが会員の理想を細かくチェック。全国37カ所のネットワークを活かし、コンピューターマッチングとカウンセラーの判断で、希望に添った相手を紹介する。

 コンピューターは今年までに16カ所に導入された。限定された地域だけでなく全国範囲で相手を探せるシステムが整っている。「チョンシル・ホンシル」と名付けられたプロフィール用紙の記入欄は60項目にわたる。より具体的なデータを把握することで、具体的な要求に応えることも可能だ。

 相談、見合い、相手紹介のシステムを構築した態勢で、1カ月に1度は必ず紹介できるよう努めている。

 そのためにも相談所どうしの連携を大切にし、地方センターごとに定期的な集まりを開くなどしている。

相談員の資質をより高めること

 ハードの部分を確立したのにともない、これまでもそうだが、今後より求められていくのがソフト面の確立だ。つまり、会員に対するケアの問題である。

 そのためにも各相談所の相談員がブライダルカウンセラーなどの資格を取ることを積極的に奨励している。これまで全国的に7人が資格を取得した。

 例えば、本人が気づかなくても実は相性の良い相手を探すことなどは、マッチングシステムだけでは解決できない。

 ブライダルカウンセラーの資格取得には、心理学、会話の進め方、その人の持ち味を生かすこと、服装など身だしなみのアドバイスなどが求められる。言うまでもなく結婚は一生を決める問題。会員が全幅の信頼を寄せられるよう、相談員の資質を限りなく高めていくことが大切だ。当然のことだが、プロとしての仕事が求められる。

 高い水準で事業を運営できれば、口コミで広がっていく。同胞の間で信頼も高まるだろう。何よりも実績が大切だ。

時代のニーズに応じた転換も

 時代のニーズに応じた方法の転換も必要だ。最近は自然な形での出会いを求める傾向が強い。最初は友達感覚から始まり、徐々に恋愛関係に発展するというパターンを好む。

 より自然な形でできる「出逢いのパーティー」も企画すべきだと思う。少人数による合コン形式のパーティーも、2〜3年前から始めている。

 朝青や青商会では、ライブ形式の合コンなどさまざまな方式で独自のイベントを企画している。 

 同胞との出会いを求める多くの人たちのニーズにこたえることが、よりいっそう求められる。

同胞結婚相談システム

Step1-資料の請求・カウンセリング

 日本全国37カ所にある、最寄りの相談所に問い合わせる。電話でも受け付けるが、直接訪ねれば、より詳しい情報が得られるかも。経験豊富なカウンセラーが無料で相談に応じてくれる。入会するかどうかは、じっくり話を聞いてから。

Step2-入会手続き

 入会を決めたら、「チョンシル・ホンシル」と名付けられたプロフィールに自分のプロフィールと相手への希望を正確に記入。内容は、スナップ写真とともにコンピューターにインプットされる。

Step3-お相手紹介

 相談所ネットワーク独自のコンピューターオンラインマッチングシステム「チョンシル・ホンシルシステム」で、コンピューターにインプットされているプロフィールのデータをもとに、日本全国の会員の中から相手を選考し、会員の条件に合った相手を定期的に紹介。条件が一番高い確率でかなう相手がマッチングされ、写真付きの紹介カードを定期的に送る。

Step4-お見合い、交際

 カウンセラーが互いのコンタクトをとり、双方の意思確認後、ご対面。相手が遠方の人ならテレビ電話でのお見合いも可能。

Step5-イベント(出逢いのパーティー)

 すてきな出会いのためには多くのチャンスが必要だ。「出逢いのパーティー」は全国各地で随時開催中。会員以外の参加ももちろんOK。申込書と顔写真、参加費が必要となる。(会員割引あり)

Step6-婚約・結婚

 将来を誓い合えば結婚の準備。婚約、ポンチェ(納幣)、結婚式、披露宴に至るまで、何でもアドバイス。式場、婚礼衣装、貴金属など、特別価格、割引価格で提供してもらえる業者も紹介。

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